ボクシング井上尚弥の父・真吾トレーナー 「絶対に手を上げない」指導者としての哲学
真吾氏自身が「しょっちゅう家出」!? その理由とは
――3つも仕事をこなしているのは純粋に驚きです。
「塗装は元々やっていて、不動産は34歳からですけど、何にしても妥協はしたくないんですよ。中途半端だったらやらない方がいいし。やっぱり子供って見ているし、カミさんにしても見ているじゃないですか。頑張っているところは見せたいなと」
――背中で語るということですね。
「ナオなんかは小さいころ現場に連れて行って一緒に塗らせたりだとか、メンバーがたくさんいる中で自分が指示をする姿とか、昼間はこんなことしているんだよというのを見せたことはありますね。自分の場合はそういう親父がいなかったので、だから何か残したいなというのはあります」
――真吾さんのお父さんはいつ頃からいなかったんですか?
「小学校2年ですね。出ていったというか、おふくろが自分と兄貴を連れて実家に戻ったんですよ」
――子供にしっかりしている親の背中を見せたいというのは、ご自身のそういう経験があるからでしょうか?
「『あそこの家だからそんなもんじゃん』っていうのは絶対に言われたくないっていう思いは強かったですね。学校を出ていなくて、仕事もできなかったら人生負けだなと思っていて。何かそこで勝つんだったら、仕事を頑張って、いい学校に行って、大学に行って、いい会社に行っている人より稼げば、それはそれでいいのかなって。その意地だけですね、人生負けたくないっていう。後はほわっとした家族ですよね。まあうちも喧嘩したりするからそんなかっこいいこと言えないんですけど、自分はしょっちゅう家出もしますし」
――えっ、家出してるんですか(笑)。奥さんとけんか?
「結局仕事絡みなんですよね。プライベートではないんですけど、仕事でカミさんに強く言っちゃったりとか。で、向こうも『私だって色々やっているのに』ってなって、そのまま口喧嘩になるのが嫌だから、ヒュッていなくなります(笑)。自分が扱っている物件の空いているところに行ったり」
――すごいですね。
「まあ年に1、2回あるかないかですけど。そうするとお互いの悪いところが分かってくるんですよ。それでやっぱり仲良くなれるんですよ」