ボクシング井上尚弥の父・真吾トレーナー 「絶対に手を上げない」指導者としての哲学
11月7日にゴングとなるワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝が目前に迫っている。世界3階級制覇王者で現在はバンタム級のWBAとIBFのベルトを手にしている“モンスター”井上尚弥(大橋)が5階級制覇王者でWBAスーパー王者のノニト・ドネア(フィリピン)と対決する大一番は、2万人規模のさいたまスーパーアリーナが超満員となるのは確実だ。また、弟のWBCバンタム級暫定王者、拓真もWBC正規王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)との団体内統一戦が決まっており、井上兄弟にとってキャリア最大の正念場となる。
井上尚弥&拓真の父、真吾トレーナーの独占インタビューvol.1
11月7日にゴングとなるワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝が目前に迫っている。世界3階級制覇王者で現在はバンタム級のWBAとIBFのベルトを手にしている“モンスター”井上尚弥(大橋)が5階級制覇王者でWBAスーパー王者のノニト・ドネア(フィリピン)と対決する大一番は、2万人規模のさいたまスーパーアリーナが超満員となるのは確実だ。また、弟のWBCバンタム級暫定王者、拓真もWBC正規王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)との団体内統一戦が決まっており、井上兄弟にとってキャリア最大の正念場となる。
そんな世界チャンピオン兄弟の父として、またトレーナーとして2人を育てたのが井上真吾氏だ。真吾氏はどんな思いで11月7日を迎えるか。ボクシング指導者としての哲学、その人となり、父親としての子育て論まで、キーパーソンの真吾氏に話を聞いた。全3回のインタビューでお届けする。
◇ ◇ ◇
【第1回】
――兄弟同時世界タイトルマッチが近づいています。真吾さんもトレーナーとしてさぞ忙しい日々を過ごしていると思いますがいかがでしょう?
「それが当たり前というか、子供たちが高校生の時からこういう感じなので。だからそれが苦だとか思ったことはないですね」
――尚弥選手が小学校1年生でボクシングを始めたときからこの日のことをイメージしていましたか?
「それはないですけど、ナオ(尚弥)が小学校1年生で『やりたい』と言ってボクシングをスタートした時から、『世界チャンピオンにしたい』というのではなく、『強くしたい』と思ってやってきました。だから趣味の一環とか遊びの延長ではなくて、そこはもう戦いは始まっていると思っていて、その年齢、その時にやれることを毎日一生懸命いつもやってきて今があるということですね」
――指導者という立場でどんなことを大切にしてきましたか?
「無理する必要はないけどその時にやれることは妥協しないでやってもらいたい。自分の性格なんですよ。遊ぶなら思いっきり遊んでもらいたいし、仕事は仕事で人に負けないくらいやってもらいたいし。それに自分の子供が強くなるってやっぱりうれしいことじゃないですか。だから強くなってほしい、強くさせたいっていう欲はありましたね」
――子供を強くしたという気持ちは分かりますが、2人が小学生のころの真吾さんは塗装の仕事がかなり忙しかったと聞いています。
「相当忙しかったですね。使っている人も常時7、8人はいて、あとは応援部隊が常にいて、仕事はガンガンやっていましたよね。仕事の合間に2人を見ていました」
――トレーナーだけでなく、塗装の仕事は今でも普通にやっているんですか?
「やってはいますけど、自分が現場に出るのは、年に1、2回。あとは打ち合わせとか、そういったところです。現場は独立したメンバーに任せたりしています」
――不動産業もやっていますよね?
「やっています。今は不動産と塗装、それにボクシングのトレーナーです」
――三足の草鞋ですね。割合でいうとトレーナーが一番多いでしょうか?
「そんなことはないんですよ。トレーナーってジムに行っている時だけで、あとの空いている時間は不動産のリサーチをしたり、塗装の現場で問題があるかどうか聞いたりですね」