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なぜ、日本の子供は「夏休み」に休まないのか 猛練習はドイツで美談にならない

ストレスからの回復能力には“個人差”がある

 7月下旬にドイツサッカー連盟(DFB)とドイツプロコーチ協会(BDFL)共催の国際コーチ会議に参加してきた。スポーツ学・心理学の大学教授やDFB専任指導者による講義・トレーニングデモンストレーションが行われるなか、ボーフム大学の心理学者ケルマン教授の講演が興味深かった。

「ストレスと休息のバランスに気をつけなければならない。選手に高い要求を課すこと自体は悪いことではない。ただし、心身の疲労を回復できる休息プロセスが準備されている限りにおいて、だ。

 ストレスや負荷が増えれば増えるほど、回復するための時間が求められる。しかし、トレーニングに関わる時間が増えれば増えるほど、休息に取れる時間は少なくなってきてしまう。するとストレスコントロールの機能が働かなくなり、心身のバランスがどんどん崩れていく。最終的には、これがバーンアウト(燃え尽き症候群)へと結びいてしまうのだ」

 忘れてはならない点として挙げられるのは、ストレスキャパシティ、ストレス耐性、ストレスからの回復能力には“個人差”があることだ。「あいつはやり遂げたぞ!」「俺が子供の頃には……」が、万人に当てはまるわけではない。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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