なぜ、日本の子供は「夏休み」に休まないのか 猛練習はドイツで美談にならない
ストレスからの回復能力には“個人差”がある
7月下旬にドイツサッカー連盟(DFB)とドイツプロコーチ協会(BDFL)共催の国際コーチ会議に参加してきた。スポーツ学・心理学の大学教授やDFB専任指導者による講義・トレーニングデモンストレーションが行われるなか、ボーフム大学の心理学者ケルマン教授の講演が興味深かった。
「ストレスと休息のバランスに気をつけなければならない。選手に高い要求を課すこと自体は悪いことではない。ただし、心身の疲労を回復できる休息プロセスが準備されている限りにおいて、だ。
ストレスや負荷が増えれば増えるほど、回復するための時間が求められる。しかし、トレーニングに関わる時間が増えれば増えるほど、休息に取れる時間は少なくなってきてしまう。するとストレスコントロールの機能が働かなくなり、心身のバランスがどんどん崩れていく。最終的には、これがバーンアウト(燃え尽き症候群)へと結びいてしまうのだ」
忘れてはならない点として挙げられるのは、ストレスキャパシティ、ストレス耐性、ストレスからの回復能力には“個人差”があることだ。「あいつはやり遂げたぞ!」「俺が子供の頃には……」が、万人に当てはまるわけではない。