ドイツの子供はサッカースクールに通わない? 才能を伸ばす「ボルツプラッツ」
ドイツでは「スクール」に通う子供はほとんどいない
自陣からボールをつなぎ、運び、相手陣内では思い切りよくドリブル勝負を仕掛け、コンビネーションプレーを絡ませながらゴールを奪っていく。9歳の彼らは紛れもなく“サッカー”をしている。なんで彼らは、こんなにも順調に成長していくのだろうか。
たぶん、その秘密というのは、ドイツの子供たちは時間を見つけると、僕ら親子のように自分たちで「Bolzplatz」やグラウンドに集まっては思い思いにサッカーをしているからかもしれない。
彼らがするのは自主練ではない。遊びなのだ。誰かにやれと言われてやるのではない。サッカーは習い事ではないのだ。
ドイツでは「スクール」に通う子供はほとんどいない。大人の目を気にせずに、「こんなプレーをしてみたい」と思ったことを試せる場。「ボールを蹴りたい」「友達とサッカーをしたい」「心からサッカーを楽しみたい」という欲求が満たされていることが、「もっと上手くなりたい」「もっとこんなことがしたい」「もっとサッカーがしたい」という向上心や意欲へと結びつく。だから週に一度の練習と週末の試合にかける意気込みが、常にマックスなのだ。
しっかり学び、しっかり遊び、しっかり休み、しっかり練習する。この当たり前のバランスが自然といい感じで取れていることが、子供たちの成長にとって何より欠かせない、重要な要素なのだ。
【了】
中野吉之伴●文 text by Kichinosuke Nakano