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ドイツの子供はサッカースクールに通わない? 才能を伸ばす「ボルツプラッツ」

ドイツでは「スクール」に通う子供はほとんどいない

 自陣からボールをつなぎ、運び、相手陣内では思い切りよくドリブル勝負を仕掛け、コンビネーションプレーを絡ませながらゴールを奪っていく。9歳の彼らは紛れもなく“サッカー”をしている。なんで彼らは、こんなにも順調に成長していくのだろうか。

 たぶん、その秘密というのは、ドイツの子供たちは時間を見つけると、僕ら親子のように自分たちで「Bolzplatz」やグラウンドに集まっては思い思いにサッカーをしているからかもしれない。

 彼らがするのは自主練ではない。遊びなのだ。誰かにやれと言われてやるのではない。サッカーは習い事ではないのだ。

 ドイツでは「スクール」に通う子供はほとんどいない。大人の目を気にせずに、「こんなプレーをしてみたい」と思ったことを試せる場。「ボールを蹴りたい」「友達とサッカーをしたい」「心からサッカーを楽しみたい」という欲求が満たされていることが、「もっと上手くなりたい」「もっとこんなことがしたい」「もっとサッカーがしたい」という向上心や意欲へと結びつく。だから週に一度の練習と週末の試合にかける意気込みが、常にマックスなのだ。

 しっかり学び、しっかり遊び、しっかり休み、しっかり練習する。この当たり前のバランスが自然といい感じで取れていることが、子供たちの成長にとって何より欠かせない、重要な要素なのだ。

【了】

中野吉之伴●文 text by Kichinosuke Nakano

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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