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「日本にも負けないはず」 西野朗を招聘したタイの英雄、母国サッカー発展への確信

ストリートで育つタイの選手「足技は上手いし、状況判断も悪くない」

 当時ドイツでプレーするアジアの選手は4人。ヴィタヤ氏と奥寺康彦氏、尾崎加寿夫氏、それにチャ・ボングン氏(韓国)だった。

「奥寺さんの家には、よく遊びに行って、奥さんには日本料理をご馳走してもらった」

 さらにドイツでの契約を終えても、再度来日し松下電器でプレーし、チームがガンバ大阪に変わってもコーチとして監督時代の釜本氏を支えた。こうして日本と深い関わりを築いてきたことを思えば、タイ代表に日本人監督を招聘しようと動くのも自然な流れだったに違いない。

 ヴィタヤ氏は、鳥取の監督時代に語っていた。

「代表クラスにバンコク出身の選手はいない。みんな田舎のストリートサッカーやセパタクローを裸足のまま楽しんできた選手ばかり。だから足技は上手いし、状況判断も悪くない。組織と育成がしっかりすれば、決して日本にも負けないはずなのに」

 実際日本とタイ両国の対戦の歴史を辿れば、日本は1984年ロサンゼルス五輪予選で2-5と大敗を喫している。Jリーグが開幕しても、草創期にあまり楽に勝てた試合はなかった。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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