ラグビー日本代表キャップ計197 箕内拓郎、小野澤宏時、菊谷崇が挑む新たな育成指導
チームトークで子ども達が自ら課題を解決「コーチが答えを与えることはありません」
例えば、テーマに「見つける」を掲げ、トライする代わりにボールを持ってゴールラインを越えたら点数が入るミニゲームを行った時のことだ。はじめはゴールラインのどこを越えても1点だったが、途中から両端にポイントがアップするボーナスゾーンを設置。見つけたボーナスゾーンに向かってボールを運びたいという意識を持った子ども達に、まずは「そのためにはどうすればいいの?」と問いかける。
「そこで子ども達はチームトークをして、より外にボールを運ぶためには何が必要かを考えるんです。ボールを持った人が横に流れると相手のディフェンスに捕まってしまう。だったら、ボールをパスで繋がなければいけない。そこでパスの練習が必要だと感じたら少し練習をしてからゲームに戻る。目的を達成するために何が必要なのか、僕たちコーチが答えを与えることはありません。子ども達がそれぞれ見つけた意見を伝え、コミュニケーションを取りながら答えを考えていきます」
ボーナスポイントを取れる位置を変えたり、ボーナスポイントを取れる人を決めたり、少しずつタスクを変えると、子ども達はまた意見を出しあいながら解決方法を探していく。チームトークに時間の制限を設けないのも、BUラグビーアカデミー流。子ども達が活発に意見を出しあっていれば、目安の時間を超えても継続させる。
「例えば、パスが上手く繋がらなかった時、子ども達は『あ?っ!なんで?っ!』って怒るんです。『なんで外にパスを回さないんだよ』『なんで声が聞こえないんだよ』って。そこで僕らコーチは『なんでって怒る前にどうすればよかったの?』と問いかけて、子ども達に『なんで』の解決方法を考えさせるんです。ボールを呼ぶ声を大きくすればいいのか、ラインの間隔を短くすればいいのか。子ども達が考えた方法を試しても上手くいかなかったら、また考える。時間はたっぷりありますからね」