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本当のミスとは「チャレンジしないこと」 日本で4クラブを率いた外国人監督の信念

ランコ・ポポヴィッチは、2009年の大分トリニータを皮切りに、FC町田ゼルビア、FC東京、セレッソ大阪と4つのJリーグクラブを指揮した。いつも喜怒哀楽を全身で表現し「日本サッカーが発展していくためにも、しっかりと組み立て攻撃的に」という姿勢を曲げなかった。

ポポヴィッチ氏(中央)は、本当のミスとは「チャレンジしないこと」だと語った【写真:Getty Images】
ポポヴィッチ氏(中央)は、本当のミスとは「チャレンジしないこと」だと語った【写真:Getty Images】

FC東京など4クラブを率いたポポヴィッチ氏「物事はできると信じなければ何も始まらない」

 ランコ・ポポヴィッチは、2009年の大分トリニータを皮切りに、FC町田ゼルビア、FC東京、セレッソ大阪と4つのJリーグクラブを指揮した。いつも喜怒哀楽を全身で表現し「日本サッカーが発展していくためにも、しっかりと組み立て攻撃的に」という姿勢を曲げなかった。

「ここまで私の人生は、本当にサッカー漬けだった。その経験から伝えていくべきものは、たくさんある。例えば、自分が犯したミスを振り返り、こんなミスはしないように、と選手に伝えることはできる」

 ただし、これだけなら「経験論」の域を出ない。この先につながる言葉が、ポポヴィッチの真骨頂だとも言える。

「でも本当のミスとは、ミスを怖れてチャレンジしないことだよ。物事はできると信じなければ何も始まらない」

 ミスをなじるのは簡単だ。依然として日本の育成現場で、よく見る光景である。

「なんでそこで○○するんだよ!」

 一方、できると信じて鼓舞し続けるのは、非常に忍耐の要る作業だ。例えば、同じメニューをこなしていても、ミスを叱責され続けるのと、チャレンジを促されるのでは、まったく成長の度合いが異なる。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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