「日本代表監督になる」 破天荒な25歳校長の切実な思い「怒鳴る指導断ち切りたい」
「シュートを外して怒鳴るのは、素人にもできます」
しかし、現役生活にピリオドを打った途端に、新しい目標が浮かび上がる。
「史上最年少でS級ライセンスを取り、日本代表監督になる」
ただし破天荒な夢は決して浮ついたものではなく、根底には「日本サッカーの育成現場を変えたい」という切実な思いがあった。
「日本サッカーの指導を変えていきたいんです。今、様々な現場を見ると、指導者は依然としてミスした選手たちを怒鳴っている。パスミス、トラップミス、シュートミス……。でもシュートを外して怒鳴るのは、素人にもできます。指導者が果たすべき役割は、なぜ外れたかの説明であり、どうしたら次は外さないか解決策の提示です」
引退してからも上船は、貪欲に学び、指導や技術の向上を図ってきた。先日もキックの指導に定評のあるコーチを訪ね、ふかさないシュートを体得している。
「このフォームで蹴れば“ふかさない”のではなく、むしろ“ふかせない”。先日も子供たちにキックを改善するクリニックをやったら大喜びだったそうです」
日本サッカーが変わるためには、まず大人が変わる必要があると考える。
「怒鳴るコーチから指導を受けた選手は、自分が指導者になるとそれを真似します。だからそれを断ち切り、常に指導者は学び続け、論理的に伝えていくべきだということを浸透させたい。そのためには、自分が日本代表監督になって発信するのが最も効果的だと思うんです」