「怒鳴る」に待った、「伸び伸び」にも注意 元大リーガー岩村明憲が語る指導論
左打ちの理由は「掛布さん」、真似から始まった打撃スタイル
「学ぶ」という言葉は「まねぶ」とも読み、「真似る」と同じ語源を持つ。見て盗んで真似ることは、つまり学ぶということ。野球教室などで子供たちに指導する時、まずは誰かを真似て見るように勧めるそうだ。
「どんな打ち方でも構わないよ。例えば、山田哲人、柳田、筒香、坂本。今の人気選手の打撃を見よう見まねでやればいい。その代わり、しっかり見ておかなければならないところもある。みんなに共通しているのは、軸がぶれないこと。軸さえしっかりしていれば、どういう形でバットを振ってもいい。
俺は小学生の頃、掛布(雅之)さんの真似をしてたんだよ。だから、左打ちなの。それまで右打ちだったんだけど(笑)。掛布さんに憧れて、テレビで試合を見ながら真似をした。ああでもない、こうでもないって、自分でいろいろ工夫しながら、スムーズになるところまで、どんどんバットを振った。親からは『最短距離でバットを出せ』って言われてたんだけど、『いや、掛布さんはこうだよな』とか思いながら、自分でやったのを覚えてる」
真似ることから始まった打撃で、ヤクルト時代の2004年には44本塁打を記録。ついには、海を越え、メジャーの舞台で戦った。NPBとメジャーで戦った17年で積んだ経験は、岩村氏にとって貴重な財産だ。この財産は、我が物と独り占めにするのではなく、広く日本野球界に還元していくつもりだ。日本球界をより発展させるためにも、まずは福島から。2017年も3足のわらじを履いて、力強く前進する。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer