ゴルフ未経験だった父が導いた山下美夢有メジャー初V 情熱だけじゃない成功の理由とは
間違った指導法で「悲劇」を招くケースも…
一方で、その熱量のバランスが崩れ、指導法を間違って「悲劇」を招いたケースも少なくない。「子供をプロにしたい」。その思いを押し付け、物心がつかないうちからクラブを握らせる。幼少期はついてくるが、中学生、高校生で自我が芽生えても父はスパルタ指導を続け、スコアが悪いと激怒。子供たちは委縮しながら練習を続ける。そんな子供たちが試合に出て、同組でそろうと最悪な事態を招くケースがあるという。ある有名プロは言った。
「スコアを全員でごまかして、アテストするんですよ。そこまで追い込まれているからなのですが、ゴルファーとして最低の行為です。そんな選手は実力もないので、プロにはなれないんですけど」
対照的に山下は「父はスコアのことでは怒ったことがない」と言った。一方で「マナーにはすごく厳しかった」と振り返る。それは、宮里の父も同じで、「ゴルファーの前に人格者であれ。ゴルフは人格形成のためのツールだ」を信念に3人の子供たちだけでなく、多くのジュニアゴルファーを指導してきた。現在、活躍するプロの多くが礼儀正しいのも、それぞれの父親、もしくは母親が「目先の結果」に一喜一憂せず、ゴルファーとして、人として成長するための教育をしてきたからだと感じる。
もちろん、選手たちも親に負けない情熱を持ち、能動的に練習をし、トレーニングを積んできたからこそ、成功をつかめたはずだ。山下の父・勝臣さんは「やっぱり、本人が努力家なんで」と言った。それらを前提にしたプロゴルファーの成功物語。また新たなエピソードをここでお伝えしたい。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)