最大の問題は「いびき被害」 全寮制部活を睡眠コーチが指導、安眠に必要な8つの習慣
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第3回は、矢野氏が指導を始めた相生学院高校サッカー部で気づかされた、4人部屋などで生活する全寮制の部活ならではの問題に注目。安眠を妨げる「いびき」への対策を進めるとともに、選手に伝えた体内時計を整える「8つのルーティーン」を紹介する。(取材・文=加部 究)
連載「スポーツと睡眠」第3回、全寮制で睡眠時間は確保も“いびき”にストレス
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第3回は、矢野氏が指導を始めた相生学院高校サッカー部で気づかされた、4人部屋などで生活する全寮制の部活ならではの問題に注目。安眠を妨げる「いびき」への対策を進めるとともに、選手に伝えた体内時計を整える「8つのルーティーン」を紹介する。(取材・文=加部 究)
◇ ◇ ◇
矢野達人はアスリートスリープコーチとして、この春から兵庫県相生学院高校サッカー部の指導を始めた。矢野にとってチーム単位の指導は初の試みだが、おそらくプロも含めてスリープコーチをつけるチームも国内では相生学院が初めてだろう。
同校を訪れた矢野は、まず選手たちに全50問近い質問を配り、それを参考にして個別の面談を進めていくことにした。個々の選手たちの背景を把握した上で、より良い睡眠ができる環境を整え、ルーティーンを組み立てていこうと考えたのだった。
プロサッカー選手の育成を目指す相生学院高校のプロジェクトがスタートしたのは4年前のことだった。当然1期生として集まってきたのは、大きな肩書を持たない中学生ばかりだったが、彼らが最上級生になった2021年度には全国高校サッカー選手権の県予選で決勝まで進み、日高光輝がJ1のヴィッセル神戸、福井悠人がJ3のカマタマーレ讃岐と契約を交わし2人のプロ選手を輩出した。
通信制の相生学院では、基本的に全体練習が午前中に終わるので、リカバリーの時間は十分に確保されている。一方、全寮制で新入生を迎えたばかりだったこともあり、睡眠環境は十全というわけではなかった。睡眠そのものは8時間以上取れている選手もいたので、総じて家庭から通学している一般の高校生よりも長かった。しかし反面「うるさい」という項目へのチェックが目立ち、少なからず安眠を妨げるストレスを抱えた選手がいることも判明した。夜更かしなら睡眠に対する理解を求め意識改革を促すことで取り除けるが、難題なのがいびきをかく選手への対策だった。
「いびきには様々な要因があります。慢性鼻炎、骨格、舌の筋力低下、喉周りの脂肪、枕が高過ぎるなど多岐に渡るので、いびきが気になる選手やいびきがうるさいと言われる選手を集めて話を聞いていく段取りを考えています。単純性のいびきなら対策グッズなどで解決できるし、就寝時間が近い選手を同部屋に集めるなどの工夫を進めていこうと考えています」