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大学駅伝で伸びる高校生ランナーは? 國學院大監督が見る天性の素質と「性格と顔」

選手をスカウトする際、フォームだけでなく「性格と顔」もチェックすると話す、その理由とは【写真:THE ANSWER編集部】
選手をスカウトする際、フォームだけでなく「性格と顔」もチェックすると話す、その理由とは【写真:THE ANSWER編集部】

高校生を選ぶ際に見る「腰高の走りのフォームと可動域の柔らかさ」

 國學院大は、高校生に陸上部のリアルを知ってもらうために、希望する高校生には可能な限り寮に来てもらい、ごはんも食べ、練習に参加してもらっている。本当に國學院大が良いのか、現場で見てもらうことで判断してもらうということだ。

――高校生を選ぶ際、監督はどういうところを見ていますか?

「腰高の走りのフォーム、可動域の柔らかさとかですね。この2つは天性のものであって、大学に入って簡単に変えられるものじゃないんです。走ることが大前提で入ってくるのに、フォームの矯正とかだけに時間を割けないですから。あと、性格と顔ですね。人と向き合った時に目が泳ぐ子と、ストレートに僕は強くなりたいという子は、顔にも出るし、全然パワーが違うんですよ。それも加味します」

――高校の指導者からの情報はどう見ていますか?

「大事ですね。高校の指導者は、私の後輩がなっているところもあるので、そこから情報を吸い上げられるところは間違った情報がないのでいい。走ること以外では、学力も大事です。単位で苦労している学生は、勉強に力を注がないといけないので伸び悩みます」

 國學院大の名前は、箱根駅伝での活躍から全国の高校生の間にも浸透し、スカウティングにも有利に働くようになってきている。土方英和(現Honda)、浦野雄平(現富士通)が来てから選手の意識が変わり、チーム編成も長期スパンで考えられるようになった。2020年の箱根駅伝で総合3位になった時、前田監督は「この翌年が大事」と語っていたが、昨年は総合9位だった。

――強いチームを長く、維持する点において昨年の9位は想定外でしたか?

「昨年は全日本が9位でしたが4区まで戦えていましたし、箱根も10区で6位争いに敗れての9位でした。シード権を逃さないというのが大前提ですし、ある意味、繋ぎの1年でしたね」

――繋ぎの1年というのは、どういうことですか?

「木付(琳)たちが4年の今のチームは、2か年計画でチーム作りをしてきました。木付の学年は2年生の時、箱根に4人出ているんです。彼らが4年になった時、もうひと勝負できると感じていました」

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前田康弘(國學院大學陸上競技部監督)


1978年生まれ、千葉県出身。駒澤大学時代に箱根駅伝を走り、4年時には主将として総合優勝を果たした。2007年に國學院大學陸上競技部コーチとなり、09年から監督に就任。着実にチーム強化を進めると、19年の出雲駅伝で初優勝。20年の箱根駅伝では総合3位の成績を収めた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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