ドイツのサッカー大会で見た自然体の光景 「障害を抱えた子供」が仲間と決めたゴール
先日、息子の室内サッカー大会を観戦してきた。U-10の8チームが参加して、2グループに分かれてのグループリーグと最後に順位決定戦という形式だった。試合と試合の合間では子供たちは遊び出す。息子も友達と鬼ごっこを始めたので、僕は他チームの試合を見ることにした。
【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――麻痺を持つ子供が仲間として戦える環境
先日、息子の室内サッカー大会を観戦してきた。U-10の8チームが参加して、2グループに分かれてのグループリーグと最後に順位決定戦という形式だった。試合と試合の合間では子供たちは遊び出す。息子も友達と鬼ごっこを始めたので、僕は他チームの試合を見ることにした。
そんな何気なく見ていたある試合でのことだ。途中からどう見ても小学1年生ぐらいの小さな子が出場してきた。最初は「あれ、小さい子だな」くらいに思ったが、どうも動きがぎこちない。怪我でもしているのかなと思ったが、そうではなかった。
麻痺を持っている子だった。
その子は他の子供たちに混じって“普通に”プレーをしていた。スピードでもパワーでもテクニックでも勝てない。でも走り続け、戦い続けた。
試合終了まであと数分というところで、彼の前にボールがこぼれてきた。がむしゃらに右足を振り抜く。ボールは、見事にゴールへと吸い込まれていった。
ベンチから大きな歓声が上がった。僕を含め観戦していた人はみんな拍手を送った。
試合終了後、一人で精いっぱいのガッツポーズをしていた。どれほど嬉しかったことだろう。仲間の一人が駆け寄ってきて抱きかかえ上げた。ベンチに戻ると、監督からそっとハイタッチをされた。きっと誇らしかったことだろう。彼が決めたゴールをみんな心から喜んでいる。素敵な光景だった。