世界の一流は「利き足で仕掛ける」 ブラジルの元プロ選手が抱く日本流両足指導の疑問
左右の足の間にボールを置く「トッププレーヤーは絶対にいない」
筆者も少年チームの指導経験があるが、子どもたちが初めてリフティングに挑戦する時は、利き足のみでやろうとする。
「それが自然なんです。片足リフティングは、ステップを踏まないと続かない。でも両足なら、ステップも踏まずに身体も開いたままでできます。もちろん実戦では、両足を使う方が楽な局面もあります。両方から相手が寄せて来たら、ダブルタッチをすれば切り抜けやすい。でもウチでは、ステップの要らないダブルタッチはやらせません。利き足のアウト、インを駆使してキープするように指導しています。
世界の優れた選手たちは、みんな利き足側でボールを持って仕掛けます。相手に奪われないところにボールを置き、奪われない持ち方、運び方をする。よく左右の足の間にボールを置くように教える指導者がいますが、そんなトッププレーヤーは絶対にいません」
日本の現場では、まるで両足を同じように使いこなすことが、成功の条件であるかのように指導されている。しかし檜垣がブラジルで見てきた実態は真逆だった。
「だから利き足の正しい使い方は凄く注意していきます。野球の投手だって正しいフォームで投げなければ伸びていかないでしょう」
利き足のみを使う指導に不安を持つ親御さんもいる。だが、檜垣は確信を込めて言う。
「『いつから反対の足を練習したらいいんですか?』と聞かれることもあります。でもそれはプロになって必要だったら、で十分だと思います」
利き足に絞った練習に切り替えてから開眼し、プロ契約に漕ぎ着けた成功体験の持ち主ならではの言葉だった。(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)