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やらされる部活にはない堀越サッカー部の強み コロナ禍で成長速度が加速した自粛期間

東京都予選決勝で勝つために日々を過ごして目標達成「一つ階段を上がれた」

 今年東京都代表の座を獲れなかったら、この先10年間は獲れない――。佐藤自身が公言し覚悟を持って臨んだチームは、着実に東京都予選を勝ち上がった。2回戦では東京高校が「ペナルティーエリアで8人が待ち構え、一人一人のこの試合に賭ける思いが素晴らしい」(佐藤)守備戦術を徹底し延長戦にもつれたが、それ以外の4試合は順当勝ち。

 改めて佐藤は言う。

「(代表権を)獲りに行って獲れたことは自信にもなり、一つ階段を上がれたと思う」

 決勝戦という最後の一段を上れるかどうか。その違いを問うと、佐藤はこう答えた。

「14、15年と続けて選手権東京都予選の決勝に進みました。当時は最高の準備をしてきたつもりでした。でも今から振り返ると、目標設定の段階でも西が丘(通常は準決勝以降)に行けたらいいな、と代表権獲得は願望に近かった。でも今年は勝つためにどうするという中味がしっかりとしていました。リーグ戦やトレーニングマッチも含めて、コンスタントに力を出せるようになり、対戦相手がどうこうより自分たちがここをクリアできれば勝てる。そんなふうに、いつも自分たちにベクトルが向いていました」

 ボトムアップ方式を導入し試行錯誤を繰り返してきたが、楽しく真剣に、そして自発的に取り組む部活は好評を得て、スカウティングにも追い風になった。佐藤はようやく中味と結果を揃えることができたと、充実感を覚えている。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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