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エースの故障を見抜く指導者と真の“親心”「たとえクラシコでもプレーさせない」

「エースも故障があれば、たとえクラシコでもプレーはさせない」――ジョアン・サルバンス(元バルセロナ・カンテラ監督)

高校サッカーで時に美談となるケガを押しての奮闘

「エースも故障があれば、たとえクラシコでもプレーはさせない」――ジョアン・サルバンス(元バルセロナ・カンテラ監督)

 全国高校選手権予選が佳境に入りつつある。毎年無責任なメディアは、決まって故障の痛みに耐えてプレーをした選手の頑張りを讃える。

 確かに高校選手権は、判断の難しい大会である。大半の選手たちは、プロを目指すわけではない。幼少時から取り組んできた思い出作りの集大成と捉えることもできる。この大会に向けて厳しいトレーニングを課してきた指導者の側も、育成のプロセスではなく、終着点と考えれば、無理をしてでもピッチに立たせてあげようと親心が働くのだ。

 実際に、ある選手権優勝校の監督は言い切った。

「我々は世界を目指してやっているわけではない。高校で勝つためにやっているんだ」

しかし皮肉なことに、こんなことを言い放つ監督の下からも、日の丸をつけて戦う選手が羽ばたいている。同じトレーニングをしても、トップレベルのプロに育つケースもあれば、その後の長い人生を苦しみ続けるような故障を抱えてしまう選手もいる。

 ただし、それでもマスコミは成功例ばかりをクローズアップするので、世界に例を見ないような非効率で疲労ばかりを溜め込むトレーニングが、時には称賛を集めてしまうことになる。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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