エースの故障を見抜く指導者と真の“親心”「たとえクラシコでもプレーさせない」
「エースも故障があれば、たとえクラシコでもプレーはさせない」――ジョアン・サルバンス(元バルセロナ・カンテラ監督)
高校サッカーで時に美談となるケガを押しての奮闘
「エースも故障があれば、たとえクラシコでもプレーはさせない」――ジョアン・サルバンス(元バルセロナ・カンテラ監督)
全国高校選手権予選が佳境に入りつつある。毎年無責任なメディアは、決まって故障の痛みに耐えてプレーをした選手の頑張りを讃える。
確かに高校選手権は、判断の難しい大会である。大半の選手たちは、プロを目指すわけではない。幼少時から取り組んできた思い出作りの集大成と捉えることもできる。この大会に向けて厳しいトレーニングを課してきた指導者の側も、育成のプロセスではなく、終着点と考えれば、無理をしてでもピッチに立たせてあげようと親心が働くのだ。
実際に、ある選手権優勝校の監督は言い切った。
「我々は世界を目指してやっているわけではない。高校で勝つためにやっているんだ」
しかし皮肉なことに、こんなことを言い放つ監督の下からも、日の丸をつけて戦う選手が羽ばたいている。同じトレーニングをしても、トップレベルのプロに育つケースもあれば、その後の長い人生を苦しみ続けるような故障を抱えてしまう選手もいる。
ただし、それでもマスコミは成功例ばかりをクローズアップするので、世界に例を見ないような非効率で疲労ばかりを溜め込むトレーニングが、時には称賛を集めてしまうことになる。