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ドイツのサッカー人口は日本の約3倍 “強さ”を支える「毎週試合をプレーできる権利」

“愛好者”の頂点に苛烈な競争を勝ち抜いた“エリート”がいる

 かつて鈴木はビーレフェルトでユースの監督も兼任したが、試合に絡めない選手は必ず理由を聞きに来た。

「ユースはプロの手前で、自分の将来がかかっているからみんな必死です。どうして試合で起用されないのか、何が足りないのか、と選手に説明すると、次に親が来ることもありました。もし実力が足りなくて試合に出られないなら、息子とは別の道を探す話し合いをしたい、とのことでした。私は率直に、トップに上がれるのは1人、もしくは多くて2人だと話し、誰に可能性があるのかも伝えました。親御さんも現実を受け止め、息子は別の仕事を選択しアマチュアでプレーする方向へ切り替えていくわけです」

 当然トップへの道のりは厳しい。ただし誰もがトップに這い上がるチャンスと、純粋にプレーを楽しむ環境を提供されている。逆に年齢を重ねてもプレーし続ける愛好者の頂点に、苛烈な競争を勝ち抜いた選りすぐりのエリートがいる。

 やはり日本の実情と比べてしまえば、そこには埋め難い溝がある。(文中敬称略)

[プロフィール]
鈴木良平(すずき・りょうへい)

1949年生まれ。東海大学を卒業後、73年に西ドイツ(当時)のボルシアMGへ留学。名将ヘネス・バイスバイラーの下で学びながら、ドイツサッカー連盟S級ライセンスを取得した。84-85シーズンにはブンデスリーガ1部のビーレフェルトのヘッドコーチ兼ユース監督を務めた。その後は日本女子代表初の専任監督に就任するなど女子サッカーの発展にも尽力。ブンデスリーガなどのテレビ解説者としても活躍する。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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