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女子選手は「よく喋る」 “集団解決力”の高さに驚き「指導者が言い過ぎたら失敗」

育成指導で熟達した手腕を見せてきた菅澤大我にとって、女子チームの指揮は新しいチャレンジである。長く親しんだ東京ヴェルディを離れ名古屋グランパスに移籍した時に「最も成長した」と振り返るように、再び新鮮な刺激を受け、幅を広げているようだ。

菅澤監督が指揮する、ちふれASエルフェン埼玉の選手たち【写真提供:ちふれASエルフェン埼玉】
菅澤監督が指揮する、ちふれASエルフェン埼玉の選手たち【写真提供:ちふれASエルフェン埼玉】

【“読売育ち”菅澤大我、気鋭コーチの育成論|第4回】女子選手の話し合いで解決する力に注目「指摘されて受け入れる度量もある」

 育成指導で熟達した手腕を見せてきた菅澤大我にとって、女子チームの指揮は新しいチャレンジである。長く親しんだ東京ヴェルディを離れ名古屋グランパスに移籍した時に「最も成長した」と振り返るように、再び新鮮な刺激を受け、幅を広げているようだ。

「女子はお互いによく喋る。その口数の多さには驚いています。一応どのレベルの話をしているのか耳を傾けてみると、割りとしっかりとした内容なんです。戦術的な理論を基に取り組んでもらっているのですが『あの時はこうじゃない?』『あ~、分かった、ごめんね』みたいなやり取りをしている。指摘されて受け入れる度量もある。男子では、こんなことはなかった。特にヴェルディなんか『ハ~? 話しかけてくるなよ』という空気もあって(笑)」

 叩き台を与えれば、ピッチ上でも活発なコミュニケーションを始める。少なくともちふれASエルフェン埼玉では、そんな流れでチーム作りが進んでいく。

「もちろん、ウチだってすべてが良好というわけではありません。でも女子は集団性、つまりコレクティブを凄く大事にしている選手が多い。男子だとアニマルみたいな存在がいて、それはそれで力を生み出すには素晴らしいことだけど、女子のほうがサッカーで求められるルールやモラルへの反応が良い。協調して戦術的にいろんなことをクリアしていける確率が高いと思います。だからこちらは、戦術や戦略について、分かりやすく短く伝えられるように工夫しています」

 頭ごなしではなく、話し合いを喚起するベースを提供する。そのうえで、あくまで快活にトレーニングが流れていく。

「考えさせる指導を推奨するSNSなどをよく目にしますが、ベースがないところで考えさせても、どうやって民主的になるんだろうと思うんです。例えば、そこにマラドーナがいれば、彼がルールになる。マラドーナが『(パスを)出せ』と言ったら、もう出すしかない。要するにベースがないと、強いものが勝つことになってしまわないのかな、と」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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