なぜ体罰は非合理的なのか エディー氏が説く、良き指導者に必要な「3つの資質」
失敗した時に訪れる成長のチャンス「失敗するのは非常に重要な道のりです」
それでは、エディー氏が考える指導者に必要な資質とは何だろうか?
「3つあります。まず、知識がないといけません。そのスポーツ、例えばラグビーをしっかり理解していなければなりません。そして、熱意も必要です。例えば、ある練習をする時に、その練習がチームや選手にとって意味があることだと伝えるには熱意がなければできません。最後に、観察力や洞察力も必要ですね。選手やスタッフのマネージメントができたり、人間関係を構築したり。さらに相手が何を必要としているのか、肩を組んだ方がいいのか、お尻を叩いた方がいいのか。そういったことを見極めるのは、観察力や洞察力です」
エディー氏が指導者に必要だと考える「知識」「熱意」「観察力・洞察力」。これらが若いうちから備わっている人もいれば、年齢を重ねながら身に付ける人も、あるいはまったく身につかない人もいる。「みんな違いますよね」とエディー氏が指摘する通り、指導者もまた千差万別だ。
ラグビー界が誇る世界的名将で、指導者としても高く評価されるエディー氏。試合中に見せる眼光の鋭さ、そして物事の本質を突く明確な発言などから、どこにも隙のない完璧なイメージを抱かせるが、若い頃ばかりではなく「今でも失敗していますよ」と笑う。
「失敗は勝つためのプロセスですから、失敗するのは非常に重要な道のりです。失敗した時に必ず学ぶチャンスが訪れ、そこから前進する。失敗して、前に進む。この繰り返しです」
だが、東海大学、サントリー、代表チームと日本での指導経験が豊富で日本文化にも明るいエディー氏は、「失敗して学ぶ」という考え方は日本の社会で受け入れられづらいのでは、と感じているようだ。