なぜ体罰は非合理的なのか エディー氏が説く、良き指導者に必要な「3つの資質」
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で準優勝したイングランドを率いたエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)。2003年大会以来2度目の優勝こそならなかったが、イングランドにとっては自国開催で1次リーグ敗退に終わった2015年大会の悪夢を振り払う快進撃は、日本大会のハイライトだった。
豊富な指導経験を持つエディー氏の指導論とは
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で準優勝したイングランドを率いたエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)。2003年大会以来2度目の優勝こそならなかったが、イングランドにとっては自国開催で1次リーグ敗退に終わった2015年大会の悪夢を振り払う快進撃は、日本大会のハイライトだった。
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前回大会では日本代表のHCも務め“ブライトンの奇跡”を演出し史上初の大会3勝をもたらした、日本でもお馴染みの世界的名将が「THE ANSWER」の単独インタビューに応じた。日本では昨今、「プレーヤーズファースト」という言葉が浸透しつつあるが、世界各地で豊富な指導経験を誇るエディー氏が考える選手との距離感、指導者の資質について語ってもらった。
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今、日本ではジュニア世代に対する指導の在り方が、大きな変化を迎えている。かつてスポーツの指導と言えば、指導者と子どもの主従関係、根性論や体罰などがまかり通っていたが、時は流れ、世の中の価値基準が変わり、それらは過去のものとなった。現在、育成の現場に浸透しつつあるのが「プレーヤーズファースト」という考え方だ。
「プレーヤーズファースト」とは、勝利至上主義に囚われず、選手=子どもたちの将来を考えながら、競技者・人間として成長できる環境を、指導者をはじめとする大人たちが整え、導こうという考え方だ。決して選手に甘くなる言い訳でもなければ、「選手がやりたいと言うからやらせた」と責任転嫁するための言葉でもない。選手を一人の人間として尊重し、向き合うことから始まる、指導者と選手の対等な関係を意味する。
ただ、現在の指導者の多くは、自分が子どもの頃に受けた指導と「プレーヤーズファースト」という考え方がかけ離れているため、選手とどういう距離で向き合えばいいのか悩んでいるようだ。母国オーストラリアに限らず、日本、イングランドなど世界各地で豊富な指導経験を持つエディー氏は、選手とどのように向き合っているのだろうか。
「向き合い方や距離の取り方は、選手によって変わってきます。常にハグをしてほしい選手もいれば、何も必要のない選手もいます。選手一人一人が何を必要としているのかを見極めて、それぞれに距離感を保つようにしていますね」
選手の個性は十人十色。マニュアル化された方法を全員に同じように当てはめようとしても、必ずひずみが生じてくる。一つの方法に固執せず、それぞれの個性を見極め、柔軟に対応していくのがエディー流だ。