亡き母と叔父に感謝の全国V 朝5時から階段2000段登った川崎愛乃「恩返しできたかな」
柔道の全国高校総体(インターハイ)は10日、愛媛県武道館で最終日が行われた。個人戦の女子78キロ級では富士学苑(山梨)の川崎愛乃(3年)が優勝。女子団体戦との2冠を達成した。小学5年の時に母を亡くし、以来育ててくれた叔父も今年3月に他界。「いろんな人に助けられてここまで来られた」と、導いてくれた人たちへ感謝を語った。
インターハイ柔道、女子78キロ級で川崎愛乃が優勝
柔道の全国高校総体(インターハイ)は10日、愛媛県武道館で最終日が行われた。個人戦の女子78キロ級では富士学苑(山梨)の川崎愛乃(3年)が優勝。女子団体戦との2冠を達成した。小学5年の時に母を亡くし、以来育ててくれた叔父も今年3月に他界。「いろんな人に助けられてここまで来られた」と、導いてくれた人たちへ感謝を語った。
大一番で強さを発揮した。決勝は佐賀商・中野弥花(2年)と対戦。昨年のインターハイ準々決勝で敗れた相手だった。「先に技をかける」の狙い通り、開始早々に寝技に持ち込んだ。わずか34秒、崩れけさ固めで一本勝ち。リベンジを果たし、拳を突き上げた。
今大会は女子団体でも大将を務めて優勝。「団体も嬉しかったけれど、違う嬉しさ。団体は自分が負けても取ってくれる。個人は自分の責任だし、自分の力で、というのが大きな違い」と喜んだ。
宮崎出身の川崎は、双子の兄の影響で小学1年生から柔道を始めた。「1位以外はいらない」といつも叱咤してくれた母を、小学5年の時に亡くしている。兄妹3人が「生きていけない状態になった」ところから救ってくれたのが、母の妹夫婦だった。
引き取ってくれた叔父は、柔道を熱心に応援してくれた。3年前の金鷲旗高校大会を観戦し、優勝した富士学苑に憧れを抱いた川崎に「行け」と言ってくれた。ずっと面倒を見てくれた大切な存在だったが、今年3月に病死。今大会は叔父にもらった数珠のブレスレットもお守りとしてIDカードのケースに入れ、全国の頂点に立った。
女子78キロ超級で優勝した山本海蘭(3年)ら他の部員と共に、週3回、早朝5時15分から学校近くの名所・忠霊塔の階段を5往復、計2000段登り降りし続けるなど激しい練習を積み重ねた。故郷を離れた寮生活で、精神的に悩んだこともあったが、矢ずに」の言葉を信じ、結果が出せた。
「自分は人一倍、いろんな人に支えてもらって、助けられてここまで来られた。少しかもしれないけれど、恩返しできたかなって思います」。首から下げた金メダルに視線を落とした川崎は、感謝の気持ちにあふれる微笑みを浮かべていた。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)