同級生部員ゼロの3年間 松山北・松岡龍司が1人だからこそ気付けた「柔道は団体競技」
1人だから気付けた、柔道は「ある種の団体競技」
「柔道をする子は自分の意思を持っている子が多いので、強めに声掛けしないとなかなかついてこない部員もいます。一方で、どうしてもモチベーションが低い子も中にはいる。だから、しっかり声をかけてアドバイスしながら、たまには楽しい練習もやっています」
やみくもにキツい練習をするのではなく、時にはチームに分かれて競争的な練習をし、負けた方が罰で腕立てなど楽しめるメニューを組み込む。そうして部の雰囲気が良くなり、練習効率が上がる。柔道は個人競技だけれど、部内の団結は重要。「ある種の団体競技」であると、学年たった1人だからこそ気付けた。
この日の松岡の体重は101.5キロ。最も適性のある階級は100キロ級だったが、愛媛県大会の同級の枠は後輩部員に譲ったため、1つ上の100キロ超級でエントリー。周囲に「無謀な挑戦」とも言われたが、勝ち抜いてインターハイの切符を掴んだ。
全国の舞台は、初戦で10キロ近く重い相手を攻めきれず、反則負けで終わった。それでも「改善点とかはあるけれど、悔いはない」と言い切った。卒業後も柔道は続ける予定。「柔道は強い人と組んで『ヤバい』と感じても、下がらないことが大事。チャンスはあると思って前に出る。人生にも直結すると思っています」。目標の国立大合格に向け、残る高校生活は学業に力を注ぐ。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)