川口能活は今J3で― 41歳でも現役にこだわる理由、「消えない2つの記憶」とは
26歳、イングランドで「今も現役を続ける要因になった」という出会いとは?
「J1から海外に挑戦して、その後はJ2、J3とカテゴリーが下がってきたけど、自分の中でこのまま終われない。いい時より動けてないかもしれないけど、今できる最高のパフォーマンスがあるから、プレーし続けたいんです」
そう語りかけると、生徒たちも食い入るように耳を傾けた。なかでも、現役にこだわる上で影響を受けた「消えない2つの記憶」があるという。
一つは、海外リーグでの経験だ。26歳で挑戦したプレミアリーグ。ポーツマスに在籍していた頃、「今も現役を続ける要因になった」という出会いがあった。
「その時、44歳のゴールキーパーが若手に指導しながら、若手と同じような動きをしながらプレーしていたんです。ゴールキーパーは長くできる。年齢はいっていても、10代、20代の意識を持ち続けていることに感銘を受けたんです。とても44歳には見えなかった。ヨーロッパで経験したことが今も現役を続けるモチベーションに大いになったんです」
そして、もう一つは故障からの復活だ。
川口は2009年に右すねを骨折し、全治6か月の重傷を負った。さらに2年後の11年には右アキレスけんを断裂し、今度は全治8か月。選手生命を揺るがす、2つの大怪我だった。