部活は「学び」と「楽しむ」どちらが先か 教育主義の日本とバスケ欧州名門の違い
「限界がある」学校の先生、それでも大切なのは「ずっと学び続けること」
部活動が主流の日本では、外部コーチを雇う学校もあるが、学校の先生が中心となって指導するケースが多い。当然のことながら、先生は授業など部活動以外の仕事が「本業」であり、コーチングだけに全力投球することに「限界がある」と嘆く指導者もいる。日本が抱える壁について問うと、ジージャ氏はコーチの“プロ”ではない先生であっても、忘れてはならない点を挙げた。
「教える側は、レアル・マドリードでは絶対にライセンスを持っている。これは非常に大切なことです。教える側が正しい知識を持っていることは、凄く大事なこと。これはスペインのやり方ですが、日本でもコーチが正しい知識を身につけることが大事なのではないでしょうか。それに加えて、コーチになった後でもずっと学び続けること。学校の先生であろうと、しっかりとした知識を持っておくべきです」
日本のバスケットはサッカーに追いつけ、追い越せと学校の先生にもコーチングのライセンス制度を作ったが、学校業務の合間に取得するには手間がかかるなどの問題があり、十分に浸透したとは言い切れない。
ワールドカップ(W杯・中国)に出場した男子日本代表は、5度目の出場で5戦全敗となったが、一昔前に比べれば世界との距離は確かに縮まっている。チームを牽引し、NBAに挑戦する八村塁(ウィザーズ)は宮城・明成高、渡邊雄太(グリズリーズ)は香川・尽誠学園高と部活動から米国の大学を経由して巣立っていった。
学ぶのが先か、楽しんだ先に学びがあるのか。統括団体の日本高等学校野球連盟が「教育の一環」とするなど、スポーツと教育を結びつけることを全面的に否定することはできない。ジージャ氏が「どちらがいいかは国や文化によります。米国、スペインなどでもバスケットボールをやっていること自体は一緒ですが、バスケットボールをどう発展させてきたかは違う」と言うように、正解は一つではない。
近年では子供に考えさせ、楽しませる工夫を凝らす指導が日本でも増えつつある。日本らしさを大事にしながら、各競技が発展することを願う。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)