初出場の名経大高蔵、「15分の夢」の価値 大学関係者も関心「あのチーム、面白い」
見ていて面白い、密集地帯でドリブルとショートパスを駆使する連係
試合開始から20分は緊張感もあって持ち味は出せず、後半も攻撃に転じる場面は限られた。ただ、前半20分過ぎからの15分(インターハイの試合時間は70分)は、ボールの近くに複数の選手が密集するスタイルを存分に見せつけた。
前半18分にはボランチの牛尾颯太(3年)が際どいミドルシュートを放ち、同28分には3バックの左ストッパーを務める平井遥登(3年)がコンビネーションの中から攻撃に転じ、ドリブルで相手をするすると抜いた。GKとの1対1で放ったループシュートが決まって先制していれば……というシーンだった。
とにかくボールの回りに人が多い攻撃スタイルで、ドリブルを始めたかと思えば、交差するように背後を走り抜ける味方にボールは移り、止まったかと思えば足技で相手を惑わせた。スカウトのために会場を訪れていた大学関係者も「何? あのチーム。面白いじゃん」と関心を寄せていた。
密集地帯でドリブルとショートパスを駆使する連係は、見ていて面白い。現在では、このスタイルに憧れて能力のある選手が門を叩くようになりつつあるが、テクニック自慢のためのスタイルではない。
もともとは「実は、ヘタクソでも簡単にできるサッカー。距離が近づけば、ボールは遅くなるし、タッチ数も減る。難しいプレーではなく、簡単なプレーの連続になる。それに、攻守一体でボールを失った後も、すぐに取り返しに行きやすい。格上を倒すためのサッカー」(島井監督)という考え方がベースとなっている。