部員に愛された「宇宙一のマネージャー」 喉は枯れ、ハチミツに頼り…覆した高校野球の“女子マネ像”――岸根・長谷川葵
高校野球の第107回全国選手権神奈川大会が9日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかなどで開幕。岸根は1回戦で鶴嶺に5-7で惜敗し、独自大会として開催された2020年以来5年ぶりの夏1勝とはならなかった。チームを支え続けたのがマネージャーの長谷川葵さん(3年)。選手から「宇宙一のマネージャー」と称されるほど、ベンチから誰よりも大きな声で仲間を鼓舞し続けた。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会
高校野球の第107回全国選手権神奈川大会が9日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかなどで開幕。岸根は1回戦で鶴嶺に5-7で惜敗し、独自大会として開催された2020年以来5年ぶりの夏1勝とはならなかった。チームを支え続けたのがマネージャーの長谷川葵さん(3年)。選手から「宇宙一のマネージャー」と称されるほど、ベンチから誰よりも大きな声で仲間を鼓舞し続けた。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
“声援”が青空にこだました。4、5回に連続得点され、7点を追う苦しい展開。長谷川さんはスコアブックを片手に必死に声を張り上げ続けた。仲間が打席に立てば「(塁に)出るよー!」、ピンチを迎えれば「ピッチャー! 良いボールいってるよ!」。その声に押されるように8、9回に計5点を奪った。ただ、あと一歩及ばず。「最後まで頑張ってくれて本当によかった」と大粒の涙を流し、ナインを労った。
中学時代にはバレーボール部に所属。初心者ながら、圧倒的な声量と味方を鼓舞するリーダーシップで主将にまで上り詰めた努力家だ。3年夏に岸根高校の入学説明会に参加。勧誘のために正門で待ち構える野球部の一生懸命な姿に魅了された。「仲間を支える存在になりたい」。マネージャーとして入部することを決めた。

入部すればボール拾いや水汲みなど雑用に追われる日々。そんな中でも、練習、試合問わず誰よりも声を出すことにこだわった。喉が枯れ、のど飴やはちみつに頼ることも。それでも「マネージャーが声を出したら、チーム一丸となって頑張れるんじゃないか」と信じていた。選手たちを陰で献身的に支える、従来の“女子マネージャー像”を覆す想いはナインに響いた。
最後の夏を間近に迎え、6月29日に行われた壮行会。3年生の選手たちからサプライズで背番号と名前付きのユニホームをプレゼントされた。「宇宙一のマネージャー」「マネージャーが葵でよかった」と感謝する寄せ書きもある。一生の宝物を手にした長谷川さんは「本当に嬉しかったです」と満面の笑みを浮かべた。
今後は夢である管理栄養士を目指し、大学に進学予定だ。「高校野球で学んだことを活かして、世の中を笑顔にしたい」。チームのために――。それだけを思って、岸根野球部を声で支え続けたマネージャー。今度は食を通じて多くの人を支えることを夢見ている。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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