東大エース・渡辺向輝が練っていた「アメリカに勝つ方法」 父の姿にもヒント…独自スタイルが“嫌がられる”ワケ
野球の大学日本代表は8日から、6年ぶりの日本開催となる第45回日米大学選手権を戦う。6月末に行われた日本代表の選考合宿で、3回無失点と好投しながら惜しくも代表から漏れたのが東大のエース・渡辺向輝投手だ。現代の球界では希少なアンダースロー。時速110キロ台のボールで、面白いように打者を料理していく。なぜ、自分だけのスタイルを身につけようと思い、どう進化させていこうとしているのか。そして、アメリカをどう抑えようと考えていたのか。合宿での言葉をひも解く。

惜しくも代表入りならずも…自分にしかないスタイルを築くまで
野球の大学日本代表は8日から、6年ぶりの日本開催となる第45回日米大学選手権を戦う。6月末に行われた日本代表の選考合宿で、3回無失点と好投しながら惜しくも代表から漏れたのが東大のエース・渡辺向輝投手だ。現代の球界では希少なアンダースロー。時速110キロ台のボールで、面白いように打者を料理していく。なぜ、自分だけのスタイルを身につけようと思い、どう進化させていこうとしているのか。そして、アメリカをどう抑えようと考えていたのか。合宿での言葉をひも解く。
あらゆる意味で、渡辺の投球は異色だ。フォームだけではない。投手の球速が上がり続ける時代に、全く違うアプローチで打者を打ち取ることを考えている。「球速とは、渡辺投手にとってどういう位置づけなのか」と聞くと「変化球の一つです。優先度が低い変化球だと思っています」との答えの後で、その意味を教えてくれた。
「自分も、投げようと思えばそこそこ出るんです。130は出ませんけど、128くらいはリーグ戦でも出ていますし。更に中継ぎで投げようと思えば、もっと出せると思うんです」
それでも、球速を求めるつもりは毛頭ない。「ストレートはシュートさせるものと、カット、ジャイロさせるものと2パターンあって、スライダーに関してもほとんどストレートのような伸びていくスライダーと、普通のものの2パターンがあります。シンカーもわざと小さく動かすものと、普通に空振りをとるものの2パターン」。現状で“速球”を使うとしたら、それよりも優先度が低いというのだ。
渡辺は自身の投球スタイルを「あえてバットの芯の“近く”に当たりやすい、ちょっと変化が弱かったり、小さかったりするボールを投げること」だと説明する。そのボールをわずかにずらすことで、自身の意図する打球を飛ばすよう打者に仕向けるのだ。そのためには球速も、ボールの動きに変化を与える要素の一つに過ぎないのだ。
大学1年の冬、完全なアンダースローに転向した。現在の日本球界では希少価値の投法だ。ロッテで活躍した父・俊介さん(現かずさマジック監督)と同じ投げ方で、フォームの小さな部分はいちいち似ている。ただこの世界に踏み込んだのは、父がやっていたからという理由ではない。身長167センチという小柄な体で、最大限の結果を出す方法を突き詰めたのだ。
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