10年続けたスケートは高校で引退「見えない怪我を見つけたい」 夢は放射線技師、星野真璃の新しい道
フィギュアスケートの全国高校選手権(インターハイ)が1月20日から3日間、神奈川・KOSE新横浜スケートセンターで行われた。全国から実力者たちが集結。「THE ANSWER」では文武両道で競技に励む選手、練習環境に恵まれない中で出場を掴んだ選手などをピックアップする。

フィギュアスケート全国高校選手権
フィギュアスケートの全国高校選手権(インターハイ)が1月20日から3日間、神奈川・KOSE新横浜スケートセンターで行われた。全国から実力者たちが集結。「THE ANSWER」では文武両道で競技に励む選手、練習環境に恵まれない中で出場を掴んだ選手などをピックアップする。
星野真璃(市立前橋・3年)はショートプログラム(SP)で40.05点。フリーには進めなかったが、最後のインターハイを滑り切った。夢は放射線技師。卒業後は順大・保健医療学部に進学し、新しい目標に向かう。
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1月21日のSP。襟付きの赤いトップスにチェックのスカートをまとい、アップテンポな「High School Musical」を演じた。冒頭の3回転―2回転の連続トウループはバランスを崩しながらも着氷。続く2回転フリップは両手を上げて決めた。「スケートは今年で最後。もう少しできた部分もあるけれど、楽しんで滑れたので良かった」。取材に応じた表情に、悔いは感じられなかった。
バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央さんに憧れ、小学2年でスケートを始めた。拠点にしていた群馬・桐生スケートセンターがコロナ禍をきっかけに閉鎖となるなど、困難と向き合いながらも競技を継続してきた。ただ、スケートは高校で引退と決めている。放射線技師になる夢があるからだ。

中学3年時、右足を疲労骨折したことがきっかけだった。「レントゲン検査では見つけられなかったものが、MRI検査で見つかった」。あの時、救われたからリンクに立ち続けられた。感謝にいつしか憧れも加わっていた。
進路が決まるまではスケートと勉強を両立。早朝に登校し、1時間ほど自習するのがルーティンだった。大学入試、インターハイ予選、国スポ予選と毎週のように続き、3時間しか睡眠が取れない日も。どんなに苦労しても、文武両道は貫いた。
「スケートも勉強も今年は色々とあって大変だったけれど、スケートをやっていたから粘り強く最後まで頑張れた」と胸を張る。「自分も見えない怪我や病気を見つけたい」。約10年続けた魅せる競技を離れ、次は誰かを救うための“見つける仕事”を目指す。ステージが変わっても、高校生活で身につけた根気が活きると確信している。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)