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陸上強豪校から1浪→上智大の異色キャリア 1年間留学、就活、インカレ出場…夢は世界「自分の道は自分で作らなきゃ」――上智大・鈴木一葉

9月に行われた陸上の大学日本一を決める日本インカレに一風変わったキャリアの学生がいた。女子100、200メートルに出場した鈴木一葉(4年)。強豪・埼玉栄で3年連続インターハイに出場して高校トップスプリンターの一人となったが、スポーツ推薦ではなく、1浪の末に上智大に一般入学した。将来の夢は、世界を股にかけてグローバルに活躍すること。在学中に長期の海外留学を経験し、自身のYouTubeチャンネルを開設。ひとつの物事に犠牲を払うことが尊ばれる日本の部活文化で、枠にハマらず、あらゆる挑戦を繰り返すキャリアに迫った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

日本インカレ女子100、200メートルに出場した鈴木一葉【写真:中戸川知世】
日本インカレ女子100、200メートルに出場した鈴木一葉【写真:中戸川知世】

3年連続インハイ出場・埼玉栄から進学、オランダ留学やYouTubeなど挑戦の連続

 9月に行われた陸上の大学日本一を決める日本インカレに一風変わったキャリアの学生がいた。女子100、200メートルに出場した鈴木一葉(4年)。強豪・埼玉栄で3年連続インターハイに出場して高校トップスプリンターの一人となったが、スポーツ推薦ではなく、1浪の末に上智大に一般入学した。将来の夢は、世界を股にかけてグローバルに活躍すること。在学中に長期の海外留学を経験し、自身のYouTubeチャンネルを開設。ひとつの物事に犠牲を払うことが尊ばれる日本の部活文化で、枠にハマらず、あらゆる挑戦を繰り返すキャリアに迫った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

 ◇ ◇ ◇

 陸上は1本のレーンを走るが、人生で歩くレールは1本とは限らない。

「私の名前、『一葉(かずは)』と言うんですけど、“何か一つのことをしっかりとやり遂げてほしい”と付けられたのに、『全然、“一葉”じゃない』と母に言われて……確かに、その通りかもしれません(笑)」

 茶目っ気たっぷりに笑う通り、鈴木一葉の歩みは彩りに満ちている。

 小学校4年生から3年間、父の仕事によりマレーシアで生活。「海外の脂っこい食事のせいか、体の成長が早かったみたいで」。帰国後、入学した中学校で計った50メートル走が学年1位に。陸上部の顧問だった体育の先生に誘われ、陸上人生はスタートした。

 高校時代は強豪・埼玉栄で1年生からインターハイに出場。2年生で100メートルと1600メートルリレー4位、3年生は200メートル7位、400メートルリレー5位と1600メートルリレー2位と3種目で入賞し、高校生トップクラスのスプリンターの一人として名を馳せた。

 鈴木のキャリアがカラフルな理由のひとつは大学選び。全国入賞クラスならスポーツ推薦で体育大などの強豪に進学するのが王道だが……。

「日本と海外を繋ぐ架け橋のような仕事がしたかったんです。マレーシアにいた時、カンボジアなど東南アジアの国々に行く機会があり、発展途上国に興味もありました。そのためにはバリバリのスポーツだけに染まる大学生活じゃない方がいいと」

 高1から目指していた慶大はAO入試で不合格に。「慶大で陸上をやる」と決めていた鈴木にとって、慶大にも陸上にも縁はないと感じ、浪人を決め、語学や留学の環境が整う上智大を志した。朝6時起床、1日13時間の猛勉強の日々で、翌春、見事に桜を咲かせた。

 陸上に見切りをつけ、始まったキャンパスライフ。

 塾とカフェでアルバイトを掛け持ち、フツーの大学生を謳歌したが、どこか物足りなかった。しかも、まだコロナ禍が収まらない2021年。心を覆うモヤモヤ。「インターハイで活躍した鈴木一葉が入学したらしい」と聞きつけた陸上部の先輩から誘いを受け、「リレーだけでいいなら」と1年夏に入部した。

 久しぶりにトラックで走ってみると、筋力の衰えを感じた。でも「なんか本当に楽しくて」、不思議と心躍る自分がいた。

「これだけ陸上をやっていないのに意外と走れた、頑張ったらいけるかもって。走りは結局、技術。ただがむしゃらに走って速くなるのは、女子の場合は中高生くらいで限界。みんなから置いてかれていた1年間は、技術や頭を使えば取り戻せると思いました」

 もう一度、陸上と向き合う日々が始まった。

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