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全国で示した「能登」の2文字 仲間と闘った大地震の逆境、中学生ハードラー大澤奏央が懸けた夏

全日本中学陸上選手権が19日、福井運動公園陸上競技場で行われた。男子110メートル障害予選では、大澤奏央(能登B.A.C・2年)が14秒79(向かい風0.3メートル)で組5着。予選突破はならなかったが、「能登」の2文字を全国の舞台で見せる目標を叶えた。能登半島地震で被災し、「普通のありがたみ」を実感した14歳。よもやの苦難を仲間と乗り越えて迎えた初の全中だった。(文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

大澤奏央【写真:中戸川知世】
大澤奏央【写真:中戸川知世】

全日本中学陸上選手権

 全日本中学陸上選手権が19日、福井運動公園陸上競技場で行われた。男子110メートル障害予選では、大澤奏央(能登B.A.C・2年)が14秒79(向かい風0.3メートル)で組5着。予選突破はならなかったが、「能登」の2文字を全国の舞台で見せる目標を叶えた。能登半島地震で被災し、「普通のありがたみ」を実感した14歳。よもやの苦難を仲間と乗り越えて迎えた初の全中だった。(文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 能登の2文字を背負い、10台のハードルを跳び越えた。大澤は14秒79の組5着。レーンに向かって一礼した。「自分の思うようには走れなかったけど、楽しんで走れたので良かった」。苦難を乗り越えた7か月半。自己ベストに0秒19届かなかったが、夏の日差しを浴びた顔は清々しかった。

 初の全中出場を目指し、迎えた2024年1月1日。最大震度7の大地震に見舞われた。自宅は断水。道路は割れた。チームで使う陸上競技場は閉鎖。当たり前だった日常が一変した。体育館の軒下でランニングやサーキットトレーニングをする日々。避難所になった学校で生活物資を運ぶのを手伝った。

大澤奏央【写真:中戸川知世】
大澤奏央【写真:中戸川知世】

「普通のありがたみがわかるようになった」。元の練習ができたのは3月頃。ハードルを跳べない時期にスプリント力を強化した。逆境の中で1年時から自己ベストを1秒以上縮めたのは努力の証しだ。所属の「能登B.A.C」に中学生は8人。全国の舞台で「能登」の2文字を輝かせるために一緒に歯を食いしばり、チームで唯一全中にたどり着いた。

 小学生時代に全国7位の実績があるが、全中は初出場。決勝進出はならなかったが、仲間と壁を乗り越えた過程に価値がある。「来年は同じ種目で全中1位を目指して頑張りたい」。何度でも強く、大きくなって戻ってくる。

(THE ANSWER編集部)

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