佐渡島から上京し、青春を捧げた陸上 満員電車も初体験 日体大・土屋美晏フラガが懸ける学生最後の1年
5月9日から4日間、行われた陸上の第103回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。2年ぶりに国立競技場で開催された熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子1部・七種競技に出場した日体大・土屋美晏フラガ(4年)。最後の関東インカレは4770点の7位。陸上は高校で辞めるつもりだったという新潟・佐渡島出身のヘプタスリートは、日体大の先輩に憧れ上京。記録に伸び悩み悔しさを味わった2年間の思いを胸に、ラストシーズンで大輪を咲かせる。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
陸上・関東インカレで輝いた選手たち 女子1部・七種競技/日体大・土屋美晏フラガ(4年)
5月9日から4日間、行われた陸上の第103回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。2年ぶりに国立競技場で開催された熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子1部・七種競技に出場した日体大・土屋美晏フラガ(4年)。最後の関東インカレは4770点の7位。陸上は高校で辞めるつもりだったという新潟・佐渡島出身のヘプタスリートは、日体大の先輩に憧れ上京。記録に伸び悩み悔しさを味わった2年間の思いを胸に、ラストシーズンで大輪を咲かせる。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
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最後の力を出し切った。6種目終了時点で8位だった土屋。最終種目の800メートルを全体4位の2分22秒19で走り切り、4770点の7位で終えた。「納得のいかない結果だけど、最後の関東インカレでやり切れて良かった」。2日間を戦ったライバルと健闘を称え合い、晴れやかな笑顔を浮かべた。
新潟・佐渡島の出身。小学生で陸上と出会い、中学ではバレーボール部と兼部、佐渡高で本格的に始めた。走り高跳び、走り幅跳び、四種競技など様々な種目に取り組み、高校1年の秋から七種競技に転向。2年夏の全国高校総体(インターハイ)に出場し、3年では全国高校陸上2020で6位入賞した。
「陸上は高校まで」。そう決めていた土屋に転機が訪れたのは高校3年の10月。新潟開催だった日本学生競技対校選手権(全日本インカレ)を観戦し、七種競技で優勝した大玉華鈴(当時日体大3年)の姿に目を奪われた。「同じ大学で一緒にやってみたい」。以前から誘いを受けていた日体大への入部を決めた。
長閑な島育ちの18歳は憧れの先輩を追いかけて関東へ――。
「同期にディズニーや富士急に連れていってもらった。満員電車も『こんな感じなんだ』って」。行く先は全て初めて。環境が大きく変わっても大学1年で4962点の自己ベストを記録し、期待感を膨らませた。しかし、以降は記録に伸び悩む日々。それでも、諦めたくない理由はいくつもあった。
「毎回、佐渡島から来てくれてずっと応援してくれる家族に良い結果を届けたい。結果を残してきた先輩を見てきたから、それに負けずに記録を残していきたい。強い後輩にも負けたくない」
大学最後の関東インカレは記録も順位も満足していない。それでも得意の走り高跳びでは大学1年以来に1メートル66を跳び、100メートル障害でも大学2年以来の15秒32を記録。復調の兆しも見えてきた。
次に見据えるのは9月の全日本インカレ。過去に3度出場も入賞はない。「入賞したいし、表彰台も狙いたい。嬉し涙を流したいです」と笑顔。大学日本一を決める舞台で大輪を咲かせる。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)