陸上部のない中学で全国1位に たった1人で農道を駆けた離島ランナー、順大・川原琉人が夢見る箱根の山
宇多田ヒカルのコンサートよりも…一番見たい景色は箱根の山に
上京して2か月足らず。島では最寄りのコンビニまで10キロあったが、今は寮から200メートル足らずの距離にローソンがある。
「息抜きでちょっと何か食べたいと思ったらスイーツを買ったり。でも、商品を見るのが好きなので財布を持たずにふらっと店に行ったり(笑)」。東京に来てみると「電車の乗り換えが難しいと気付いた」と戸惑い、「やっぱり歩行者が多い」とギャップに驚く。まだ抜ける気配のない訛りは純朴そのもの。
これから行ってみたい場所は大好きなアーティスト・宇多田ヒカルのコンサートというが、一番見たい景色は箱根にある。
目標は箱根駅伝の5区山上りで活躍すること。島にある京ノ岳という山道を小1から走り込み、坂には自信がある。「田舎の山でずっと練習してきたので、山の強さはちょっと得意分野。そういうものを大舞台で十分に発揮できたら」と言い、高低差840メートルの本番を見据える。
「課題はスタミナ強化。5000メートルも1万メートルもまだスタミナが足りずに後半失速する。普段のジョグの練習量を少しずつ増やして距離に慣れていくこと。夏に合宿があるので、そこで一つ一つのポイント練習を逃がさないようにしていきたい」
大志を抱いて、やってきた川原琉人。島が恋しいか聞いても「まだ大丈夫」と笑う。吐く息も白い新春の箱根の山を、農道で鍛えた脚で駆ける夢を見ている。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)