「越谷モデル」を全国に広めることが目標

　今年度からヴィクトリアスポーツモール越谷イオンレイクタウン店が主要スポンサーに名を連ね、行事運営の協賛金や用具の貸し出しなどで後押しする。個人用のグローブやバットを後輩に譲って卒団する少年野球チームも増えてきた。

　長瀬さんの目標は、“越谷モデル”という野球の新しいひな形を確立し、全国に広めることだ。「私の勝手な夢ですが」と笑いながら、「越谷の野球競技人口が増えた時、私たちのやってきた活動をデータに残しておけば、情熱を持った次の野球人が取り組むきっかけ、参考にもなると思います」と話し、野球人口の復興に向けて闘志をたぎらせる。

　中学部活動で昨年度の男子運動部員数上位はバスケットボール、サッカー、卓球と続き軟式野球は4位だった。サブスクの普及による娯楽の多様化、地上波でのプロ野球中継縮小、高い用具代に長い練習時間……。小中学生の競技者が減り続ける背景はいくつもある。それでも長瀬さんは「野球という素晴らしいスポーツがありますよ、と魅力を伝え続けていくことに尽きる」と、伝道師として労をいとわない覚悟でいる。

【前編】WBCの熱狂の裏で中学軟式野球に迫る危機　10年で部員数が半減、少子化だけではない要因