WBCの熱狂の裏で中学軟式野球に迫る危機 10年で部員数が半減、少子化だけではない要因
野球を越谷市の文化へ、中学女子軟式野球チームも結成
長瀬さんは少年野球チームの監督や子供会育成連絡協議会、市内の中学・高校の監督らに呼びかけ、野球を越谷市の文化として根づかせようと13人のメンバーで実行委員会を発足。野球の楽しさを未経験の児童や初心者に味わってもらうイベントの開催をはじめ、株式会社SUNホールディングスにかけ合い、中学女子軟式野球チームの埼玉SUNレディース越谷を結成するなど、女子野球の振興にも力を入れる。
「今までの古い慣例やしきたりをできるだけなくし、野球に無関心の子供たちに興味を持ってもらえるきっかけをつくりたい。野球をやり続ける子供を増やす活動にも力を入れていきたいですね」
2人は偶然にも、春夏通算8度の甲子園出場を誇る名門・春日部共栄高校の卒業生だ。先輩の武田さんが「火をつけたのは川口ですが、越谷からはもっといいものが生まれている。私たちがそれを真似して“いいもの連鎖”にしていけたらベストですね」と言えば、長瀬さんは「越谷は武田先生の真似ごとから始まっただけです」と謙遜する。
子供たちを思う心が構想力と行動力の源となり、全国の野球関係者が頭を抱える“ベースボール・クライシス”を救う突破口になる可能性を秘めている。
(河野 正 / Tadashi Kawano)