夏の甲子園中止から2年 コロナに夢断たれた20歳発起人、1000人巻き込み目指す“開催”
クラウドファウンディング実施へ「思い出残してもらうことが自分の役割」
熱い想いを伝えるとともに、利用料金を賄うための準備も進めている。早ければ10月後半からクラウドファウンディングを行う予定で、最低でも5000~6000万円を集めたい考えだ。選手の交通費、観客を入れるのであれば警備にかかる費用など、大きな金額が必要となるが、余剰金が発生した場合は「各チームにボールなどを寄付する形で、高校野球に還元したい」と大武さんは考えを明かす。
「いろんな方々のおかげでプロジェクトが成り立っています。これから一番大変なお金周りをやっていくことになりますが、実行委員会のメンバーを頼りながらやっていければ」
大武さんは今回のプロジェクトにおいて、選手として甲子園でプレーすることはできない。「最初は、自分も出たい思いもあった」と笑うが、「独自大会で優勝したチームが出るべきであって、白紙に戻してやるのはおかしい」との考えに落ち着いた。
「野球は部員数が100人いても、9人しかグラウンドには立てない。この大会で言えば、独自大会で優勝したチームがその9人。裏方として、選手に活躍してもらい、思い出として何か残してもらうことが自分の役割だなって凄く感じています。自分は怪我して野球ができない時期もありましたけど、そういう経験があったからこそ、今こうやって頑張れてるんじゃないかなと思います。
2年前にやりきれなかった思いを、2年越しにやりきったという思いに変えることが重要だと考えていますし、高校野球をやり切って、また新たに大学や社会人での活動に繋がればいい。無事に大会を開催して、選手が思い切ってプレーして、やり切ったとか、何か次のステップに進めるようになれば、このプロジェクトのゴールになると感じています」
“幻”に終わってしまった2020年の夏。ぽっかり空いた元球児の心を埋めるべく、約1000人の力を結集させ、大武さんの挑戦は続く。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)