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夏の甲子園中止から2年 コロナに夢断たれた20歳発起人、1000人巻き込み目指す“開催”

高校時代の大武さん。レギュラーを獲得し、これからという時にコロナ禍に襲われた【写真:本人提供】
高校時代の大武さん。レギュラーを獲得し、これからという時にコロナ禍に襲われた【写真:本人提供】

甲子園プロジェクトのきっかけ「本当にやりたいことは何?」

 入学後の今年2月には早速起業。合同会社「VEL」を立ち上げ、就活支援などを行っていた。経験を積む中で「本当に自分がやりたいことは何か?」もより深く考えるようになった。高校卒業から1年が経過しようとしている時期でも、未だに甲子園への道を閉ざされたモヤモヤ感が心に残っていることに気付いた。

 やりきれなかった高校野球への悔しさを持ち、経営を学んでいる自分だからこそできることがあるのではないか。その思いから、コロナ禍で甲子園を奪われた当時の高校球児による野球大会を企画するに至った。

 2020年の各都道府県・独自大会優勝チームを集め、甲子園で試合をしてもらうプロジェクト。大武さんは趣旨に賛同してくれる若手起業家らと実行委員会を組織した。最初はツイッターで地道な発信を続けながら、当時の3年生に連絡する日々が続いた。

「野球関係の友達に、いろんな高校の人に繋いでもらって、電話でプロジェクトのことを伝えて『一緒にやろう』とお願いしていきました。最初はやっぱり信頼性がなく『大学生の若造が何を言ってるんだ』という目で見られていたり、そういうメッセージが来たり。最初の10チームくらいを集めるまでは不安がありましたが、少しずつ信頼度が上がってきて、今は多くのチームに賛同してもらっています」

 現時点で参加の意思を伝えられているのは46チームにまで増えた。参加資格がないチームからも「何か運営で携わらせて欲しい」と申し出る人もいるという。現在は週1度、代表者会議で各チームとオンライン協議。試合形式や着用するユニホーム、ベンチ入りメンバーの人数など、大会規定なども詰めている段階だ。

 形になりつつあるプロジェクトで、最大の課題となるのは甲子園球場が使用できるかどうか。現在は12月~来年2月の開催を目指し、交渉中だ。参加予定の選手356人から集めた「なぜ甲子園でプレーしたいか」のメッセージも甲子園球場側には渡した。以下、一礼を紹介する。

「関係者の皆様も忙しい中、甲子園で試合するというのは厳しいかもしれません。ですが、僕たちもいろいろな思いがあり、このような素晴らしいプロジェクトには感謝しかないです。高校に入ってから甲子園の舞台しか見てませんでしたし、本当に人生を懸けていました。今もまだ悔しい気持ちや悲しい気持ちがあり、未だにテレビで母校の試合を見たり、他の高校野球を見ることすらできません。甲子園球場は僕たちの夢であり、憧れであり、素晴らしい場所です。どうかご協力いただきたいです」

「自分達の代はコロナが重なってしまい、小さい頃からの夢であった夏の甲子園への挑戦権も得られないまま、不完全燃焼で終わってしまいました。あれから2年経った今も甲子園への憧れは変わりませんし、今年の甲子園を見ていて嬉しい思いもあれば、あの頃を思い出し、悲しい思いも溢れて来ます。甲子園で野球をやらせてください。お願いします」

「僕達の代は甲子園が中止となり、とても悔しい思いをしました。県大会を優勝しても、甲子園でプレーが出来なかった悔しさが今でも残っています。2年経った今でも甲子園でプレーしたい思いは変わりません。是非、甲子園でプレーさせてください」

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