4回7失点でも「最後まで行くよ」 甲子園も経験した二松学舎大付エースを完投させた意図
エースに願う投球「完封より、ゲームメイクを」
市原監督の目には、この日の布施は「打たれる、点を取られることに異常に意識がある」状態に映った。良い投球をしたいがために、コースを狙いすぎてボールが先行する展開。不利なカウントから痛打を浴びていた。「打たれたり、点を取られたらいい反省ができるくらいの気持ちでいけばいいんじゃないか」。気持ちを切り替えた布施は、5回から立ち直った。
3者凡退は1度だけ。それでも低めストライクゾーンに集める意識で左腕を振り続け、味方の好守もあって得点を許さない。9回12安打を浴びたが、5回以降は無失点。113球で投げ抜いた。布施は試合後、「『こういう時こそ、しっかりと投げ切れ』と監督さんから言っていただけたおかげ」と公式戦で積んだ貴重な9イニングに感謝した。
初優勝は逃したが、夏のシードを獲得。なによりエースに大事な経験を積ませることができた。春夏合わせて8度の甲子園を経験している市原監督は「粘っこくやることで拾えるゲームを拾っていけると覚えてくれたら。完封したり、素晴らしいピッチングよりゲームメイクをする投手を目指してほしい」と布施に期待。「粘り強さはあるチーム。一歩一歩、夏に再チャレンジしたい」と最終目標を見据えていた。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)