日本一の大阪桐蔭に根付く「自分たちが一番弱い」の意識「今日でメンバーは解散します」
第52回明治神宮野球大会(神宮)は25日、高校の部決勝で大阪桐蔭(大阪)が広陵(広島)に11-7で勝利を収め、18年ぶり2度目の決勝で初優勝を飾った。来秋ドラフト候補の3番・松尾汐恩捕手(2年)の2本塁打を含む18安打の猛攻。春夏の甲子園、国体に続く4大大会制覇を果たした。春夏通算8度の甲子園優勝を誇る西の横綱。新チームの根底には「しぶとく、泥臭く」という意識があった。
明治神宮野球大会高校の部決勝
第52回明治神宮野球大会(神宮)は25日、高校の部決勝で大阪桐蔭(大阪)が広陵(広島)に11-7で勝利を収め、18年ぶり2度目の決勝で初優勝を飾った。来秋ドラフト候補の3番・松尾汐恩捕手(2年)の2本塁打を含む18安打の猛攻。春夏の甲子園、国体に続く4大大会制覇を果たした。春夏通算8度の甲子園優勝を誇る西の横綱。新チームの根底には「しぶとく、泥臭く」という意識があった。
大阪桐蔭が派手に、かつ抜け目なく勝ち切った。0-0の3回に4連打を含む5安打4得点。4回には、松尾の左越え3ランで突き放した。9-6と迫られた7回にも2打席連発の高校通算17ソロ。一瞬でも隙があれば、全員が次の塁を奪いに行く。星子天真主将(2年)は「新チームが始まってこの秋の日本一を目標にしてやってきた。達成できてうれしい」と汗を拭った。
春夏8度の甲子園優勝を誇る西の横綱。だが、西谷浩一監督は「謙遜しているわけではなく、力は不安定」と今年のチームについて語る。個々の能力は昨年までの方が上。ナインも自覚し、星子は「力がないとわかっているので、力のある相手にどう戦うか。とにかく束になって泥臭く戦おうと話をした」と結束力を磨いてきた。
声を出し、基礎を徹底。ひたむきに努力を重ねてきた。この日、松尾の3ラン直前の打者は送りバント失敗。全18安打のうち、内野の頭を越えるお手本のような単打を連発した。ベンチ入りの18人中17人が出場し、毎回安打の11得点。この中に現チームの力があると、指揮官は言う。
「力が不安定な中で、誰かがミスをしても誰かがカバーしてくれた。その繋がりだと思います。長打を打てるチームじゃない。しぶとく、しぶとくセンター返しをした結果。今日は戦う前から総力戦でいこうと話していた。全員で勝ち取った勝利。スタンドも含めて41人の勝利だったと思います」
創部以来初めて秋に結果を残したチーム。根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)らを擁し、春夏連覇を達成した2018年以来のセンバツ優勝へ、新たな戦いはすぐに始まる。指揮官は「今日でメンバーは解散します。明日の夜も実戦です。まだまだ自分たちが一番弱いと思って新たなチームをつくっていきたい」と切り替え。主将も「引き続き、泥臭く、しぶといチームをつくっていきたい」と喜びに浸ることはない。
冬は全部員の競争期間。底力を上げる時間が始まる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)