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「してやったり」感はゼロ 桐光学園FW田中、7年連続決勝を導いた“意外な一撃”

第100回全国高校サッカー選手権の神奈川県大会は6日にニッパツ三ツ沢球技場で準決勝が行われ、第1試合は桐光学園が1-0で東海大相模を破って7年連続の決勝進出を決めた。終盤まで譲らない拮抗した展開に風穴を空けたのは、FW田中英泰(3年)。チームを勝利に導く劇的な一撃となったが、殊勲の男は「(ボールが)自分のところに来ると思っていなかった。(運を)持っているなと思いました」と笑った。

ボールを持つ桐光学園の田中英泰は殊勲の決勝点を決めた【写真:平野貴也】
ボールを持つ桐光学園の田中英泰は殊勲の決勝点を決めた【写真:平野貴也】

桐光学園が東海大相模に1-0勝利、3年ぶりの全国高校サッカー選手権出場に王手

 第100回全国高校サッカー選手権の神奈川県大会は6日にニッパツ三ツ沢球技場で準決勝が行われ、第1試合は桐光学園が1-0で東海大相模を破って7年連続の決勝進出を決めた。終盤まで譲らない拮抗した展開に風穴を空けたのは、FW田中英泰(3年)。チームを勝利に導く劇的な一撃となったが、殊勲の男は「(ボールが)自分のところに来ると思っていなかった。(運を)持っているなと思いました」と笑った。

 スコアが動いたのは、後半終了の4分前。桐光学園が右コーナーキックを得ると、左DF寺内倖大(3年)が左足で蹴ったボールを、ニアサイドにいた田中がジャンプして頭で合わせてゴールを決めた。前半は両チームでシュート3本という互いに手堅い展開で後半へ進み、1点勝負の流れとなっていただけに値千金の得点だった。

 鈴木勝大監督は、殊勲の一撃を決めた田中を「つかみどころのないプレーヤー。最後、ああいう形で決勝点を決めて、彼の良さが出ていたと思う。欠かせない存在」と評した。田中は2トップの一角で先発したが、試合途中からは左サイドに流れることが多く、左MFの位置でプレー。ストライカーというよりは、左サイドのドリブル、カットインによるチャンスメークで攻撃に貢献していた印象だ。実際に試合後の取材対応では「前半から持ち味のドリブルでリズムを作れた。良い調子で1試合を通してやることができた」と話すなど、あまりシュートへのこだわりを示す場面がなかった。

 試合の最後に、FWとしての仕事を果たしたが、場内でヒーローインタビューを受けた田中は「公式戦でコーナーキックから点を取ったことが、初めて。こうした拮抗した舞台の中で、点が取れたことは素直にうれしいです」と、意外な一撃だったことを明かした。何しろ、このセットプレーの狙いも、田中の狙いも実際に起きた軌道とは異なるというのだ。「たぶん(狙いは)僕の一個後ろの選手だと思う。ただ、(キッカーが)蹴った瞬間に自分のところに来たと思ったので、ゴール前で(相手のクリアが味方に当たってゴールへ飛ぶなど)事故を起こすようなヘディングを狙ったら、上手く入った」と素直に話した。

 決勝点を決めたヒーローなのだが「してやったり」の感覚は、ゼロ。それでも2試合連続ゴールとなる決勝点で、チームの勝ち上がりに大きく貢献した。

 桐光学園は7年連続の決勝進出だが、直近2年はともに決勝戦で敗退。3年ぶりの全国大会出場を狙う。田中は「2年連続で決勝戦で悔しい思いをした。何がなんでも、自分が決めて勝ちたいと思う。1年の時はベンチ外。2年の時はベンチには入ったけど試合に出られなかった。(決勝の)ピッチに立つのは今度が初めてだけど、自分のスタイルを発揮して頑張りたい」と3戦連発での全国切符獲得を誓った。

 決勝戦は11月13日に等々力陸上競技場で行われ、桐光学園はインターハイ予選の準々決勝で敗れた相手である相洋と対戦する。

(平野 貴也 / Takaya Hirano)

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