逆境どう乗り越えるか 柔道金メダリストが語る成長の転機とは
“ごまかしの技”では勝てない―
「膝をケガすると、どうしても一歩目の踏み込みが浅くなったり、回転が甘くなったりする。このようにケガ一つで自らの動作が変わってきて、結果的に怖くない動きでごまかそうとしてしまいます。
でも、その“ごまかしの技”じゃ相手を投げられない。だからこそ、ごまかしの技に慣れるのではなく、自分の技術にしっかりと意識を集中しなければならない。練習で“もう一歩の踏み込み”を続ければ次第に怖さにも慣れていけますからね」
満身創痍の体をギリギリまで追い込んで技をかけるのには勇気がいる。しかし日々の練習の中で自身の状態と動きを冷静に分析していけば、新たな道が開けることもある。「その時点での“心と体の変化”に気づいて、技術に対しての考え方も変化できるかどうか」。野村さんはそう語る。
ケガをしたことでパフォーマンスが低下し、そのまま競技を諦めてしまう人も少なくないだろう。だが、その逆境がチャンスとなることもある。野村さん自身、負傷したことで「今まで無意識の中の感覚でできていたことについて、さらに一つひとつの細かい動きとかを考えていくようになりました」。ケガを乗り越え、さらなる成長をつかめるか否か。考え方の工夫が“突破口”となるかもしれない。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer