1年越しの全国V3狙う女子ソフトボール部 監督も泣いた「あきらめない」卒業生のLINE
思い知らされた3年生の偉大さ、選抜大会の敗戦で流した涙
「3年生全員が寮生で、一番上のお姉ちゃん。後輩のことも大事にしていたし、落ち込んでいてはダメだと思ったんだと思います。グッとくるものがあったし、私がもし高校生だったらあんなことは出来ない。一緒に生活してきた時間が長く、仲間を大事にするという気持ちが行動させたのではないでしょうか」(池田紀子監督)
離れていても、3年生の思いは後輩たちに伝わった。
「3年生の方が一番辛いはず。自分たちとは違う視点で物事を見ていたんだと思います。後輩のことを思ってくれていると強く感じていた」(上田こころ/2年)
「大会がなくなった時、『どうしよう……』と不安だった。先輩方がメインの代。でも、後輩のことも考えてくれるからそういうことができたのかなと思います」(副将・堀杏菜/3年)
6月、また仲間とソフトボールができる日をあきらめず、個人練習に明け暮れていた部員たちがようやく再集結となった。8月の代替大会へスタートを切ったその日、3年生だった黒川和樂さんをアクシデントが襲った。
守備練習で右ひざのじん帯を断裂。全治半年の大怪我だった。
普通に考えて、プレーできるような状態ではない。それでも、黒川さんは時には涙を流しながらもできる練習を続けた。代替大会には代打で出場。膝の痛みに耐えながら全力疾走した。
「真面目な方で、尊敬できる先輩。『人が嫌がることをやればいつか返ってくるから』と寮のゴミ処理などを最上級生になってもされていたことが印象に残っている。黒川さんの分まで、という気持ちになりました」(坂本)
代替大会は準決勝で神戸常盤に敗戦したが、最後まであきらめなかった3年生の汗がまぶしかった。コロナ禍の2020年は、最上級生の強さを思い知らされた1年でもあった。
新チームは、初めての公式戦である新人大会で優勝。結果と対照的に、チームの精神的支柱は不在の状況が続いた。
「代替大会まであっという間に終わり、本来時間をかけて引き継ぐものを、しっかり引き継げていなかった。『え、これでいいのかな?』とぼんやりとした感じ。代々やってきたことがこんなに大変なことなんだって、身をもって分かったと思います」(池田監督)
今年3月の全国選抜大会はベスト16で敗退。優勝に届かず、部員はグラウンドで人目をはばからず泣いた。
「負けるという悔しさが、そのまま涙として流れ出た。チームとして1人でも違う方向を向いていたら絶対に勝てない。皆が一つの目標に向かって努力しようと話しました」(3年・漆原花)