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「山に答えがあるとしたら…」 登山界の“アカデミー賞”受賞者が山岳部へ伝えた事

今にも生きる、高校時代に見つけた登山の基礎「貯金がまだ残っている」

 登山家としての人生を今一度振り返ると、高校時代に身に付けた登山の基礎が生きている、と花谷さん。

「僕のなかには高校時代の貯金がまだ残っている気がします。そのぐらい高校でのトレーニングや時間は貴重だった。山で体力作りをしたり、天気図を書いたり、テントを立てたり。非常に地味ですが、そういった下積みが、大学時代、そして現在でも生きていると思います」

 続いて授業は質疑応答のコーナーへ。『技術』、『メンタル』、『進路』の3テーマから高校生たちが花谷さんに質問をぶつけた。

――急な斜面が続く山では、次の1歩を出すのが大変になるときがあり、隊のなかで取り残されそうになります。どのようにすればメンタルを保ち、ペースを崩さずに登れますか。

「まさに僕が今、行き来している甲斐駒ヶ岳は標高差が2200mある。長い上りと聞いてその山を思い浮かべました。根性論になり申し訳ないのですが、頑張って荷物を担ぎ歩けるだけの体力をつけるしかない。でもチームとして早くゴールすることが大事だと思うので、荷物を分ける、体力があって担げる人がたくさん担ぐなどするほうがいい。最終的にチームとしてどう動くかを考えることが大事。荷物が持てない人はダメということはなく、例えば天気図を書くのが上手いなどほかで力を発揮できる場面がある。体力差はどうしてもあるので、各自しっかりトレーニングを重ねたうえで、出来る範囲で頑張るとうまくいくんじゃないかな」

――高校の山岳部で活動したことによって、将来、役立てることは何ですか?

「僕からは2つ答えがあります。まず、山岳部で学ぶ知識や技術、経験は災害時に即身を守る技術になる。あまり起こって欲しくはないのですが、最悪、家の装備も水さえあればしのげるだけの装備もあるし、非常時に山をやっている人はものすごく強い。

 もう一つは、物事を考えて、判断する力がつく。学校の勉強、受験勉強は常に答えのあること、正解に向かっています。でも、山には答えがないですよね?

 答えがあるとしたら、無事に下山することです。一歩を間違えると死を伴う結果が起こりうるのが山登り。山に限らず、海、川など自然を相手にしていると、天気や仲間の体調で状況は常に変化したり、予期せぬことがたくさん起こったりします。ですからその都度、自分で考え、行動しなければならない。ですから山登りを通して物事を考える力がすごく着くと思います」

 登山は日本を代表するレジャーの一つ。『進路』のテーマでは、生涯スポーツとしての登山についても、花谷さんから語られた。

「高校時代に学ぶ山の技術は本当に基礎の基礎ですが、自分の幹になる重要な部分です。長く山登りに携わっていますが、基礎のある人は、どんどん伸びる気がします。

 それと、皆さんに是非、話しておきたいのは、技術は大人になっても身に付ますが、体力は大人になってから頑張ってもなかなか上がりません。やはり、体力に余裕のある人がいちばん山を楽しんでいます。泥臭いのですが高校のうちからしっかり追い込んで、体力作りをやってほしいと思います」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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