「イライラしたら、深呼吸して」 ホッケー先駆者&実力派姉妹が高校生に授けたエール
精神面の練習の必要性を力説「同じ失敗をするケースは多い」
五輪の大舞台で戦った3人には、メンタル面に関する質問も続々と飛んだ。「試合前の緊張をほぐす方法」を問われ、友理は「正直、私も試合が始まってまだ緊張していますね」と明かしたうえで、自身の経験を語った。
スペイン1部のレアル・ソシエダでもプレーし、運動量に優れたFWとしてさくらジャパンの18年アジア大会初優勝の原動力となった友理にも、高校時代のほろ苦い思い出がある。緊張から自分のプレーができず、当時の指導者に何度も怒られたり、涙を流してコートを走ったりしたことだ。なかなか自信をもってプレーができない――。苦悩の時期を救ったのは、こんな言葉だった。
「ある人から『練習を人より何倍、何十倍すれば自信がつくし、これだけやったから大丈夫という気持ちになるよ』と言っていただいて。毎日朝練をしたり自主練をしたり、とにかく練習をしまくって、『あ、これだけやったから大丈夫だな』という気持ちで試合に挑んだ。それから緊張しても、自分のプレーができるようになりました」
メンタルのコントロールは経験豊富な選手でも難しい。「イライラが爆発すると人に当たるタイプだった」という葉月は、スペイン、オランダと海外でのプレーを通じて人間的にも成長。類まれな戦術眼とテクニックを持つゲームメーカーは、精神面でも練習が必要だと力説する。
「私も感情のコントロールが苦手で、よく姉に落ち着けと怒られるんですけど、失敗しないでおこうという考えではなく、逆に失敗を成功させるためにもう一度チャレンジしようという、ポジティブな考えを持つといいのかなと思う。失敗しないように、と思っちゃうと、また焦りでもう一度同じ失敗をするケースは多いと思う」
葉月の場合、イライラが募って気持ちの整理がつかなくなった時には、自らコートを出してもらう時すらあるという。
「いいプレーをしたいし、でも言われるし、ごちゃごちゃになってしまうので、一度コートを出てリセットするのもアリかなと。高校生は(自ら交代を申し入れることは)なかなかできないと思うので、一度深呼吸をした方がいい。
練習でイライラすることがあったら、自分を落ち着けようと深呼吸したり、イライラしていると思ったときにチーム全体に『声出して頑張ろう』とか大きい声で発したりするのもいい方法だと思う」