イングランドが示した王者攻略の方法 菊谷崇「いい手本となる試合。勉強になった」
ハカへの「V字」応戦、前半終了後の円陣「心理的なプレッシャーをかけていた」
エディーさんの基本的な作戦は「常に相手にプレッシャーをかけよう」というもの。ハカにV字で応戦したのも、ハーフタイムではすぐにロッカーへ戻らず円陣を組んだことも、今、イングランドはゲームプランを上手く遂行できているという一種の意思表示で、心理的なプレッシャーをかけていました。
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これまでもハカへの対抗策として、ハカ自体を無視して各自が思い思いに準備を続けるチームもありましたが、イングランドをハカに敬意を示しながらも、それをV字で受けて立った。以前、ハカをするオールブラックスと対戦相手の距離が近すぎて一触即発状態になったことがあり、2007年のW杯フランス大会からお互い10メートルラインまで下がるというルールができたんです。でも、今回はそのルールを破ってまで作ったV字です。こういう仕掛けをしようという雰囲気、アイディアが出て賛同する雰囲気があったイングランドは、戦術面でも心理面でも充実の準備が整っていたんでしょう。
オールブラックスには前に出てからフラットにパスを回す脅威のアタックがあります。でも、この試合ではイングランドのディフェンスがしっかりと前でプレッシャーをかけたため、オールブラックスにパスミスが増えた。さらに、イングランド戦に向けてバレット3兄弟の一人、スコットをLOで先発起用し、ラインアウトを優位に進めようとしましたが、特に機能したわけではありません。
日本代表HCの時代から、エディーさんは「代表キャップ数」、つまり経験を重視していました。今回、ニュージーランドは若い選手が多く、イングランドは若手とベテランのバランスが取れていた。オールブラックスが後半立て直せなかったのは、経験の浅さではないかと思います。