なぜ、ナダルは復活できたのか 専門家分析「“蟻地獄”スタイル戻った」
独特の“蟻地獄”スタイルも復活「自信も取り戻し、完全に復活した」
「全豪オープンとマイアミ・オープン決勝でフェデラーに負けてしまいましたが、この2試合はフェデラーが良すぎた。敗戦の一方で、しっかりとプレーの手応えは掴んでいたと思います。その後、クレーコートシーズンでモンテカルロ・マスターズからマドリード・オープン、バルセロナ・オープンと3週連続で出場しましたよね。そこでナダルは完全復活を印象付けました」
また、バックハンド以外にもナダルのプレーの質は上がったと綿貫は分析する。
「ナダルの好不調のバロメーターは、クロス方向に打ったボールにどれだけ威力があって、どれだけ深いところに入っているかというのがポイントです。基本的に調子が良い時には、バックハンドのパッシングショット、クロスのパッシングショットでのウィナーが頻繁に出ます。流れに乗り切れない時期はそれがネットにかかるなど、振り切れてなくて決まっていなかった。
今年は序盤から良いボールが出てきたなという印象がありました。プレースタイル的にもしっくりきていて、無理して攻め急ぐこともなかった。ナダル独特の、圧倒的なフィジカルを生かして“蟻地獄”に相手を引きずり込むようなスタイルも出てきました。モンテカルロでの優勝をきっかけに自信も取り戻し、完全に復活しました」
どんなショットにも追いつくフィジカル、ショットの鋭さ、そして本来の粘り強さ――。試行錯誤の2年間で苦しみ抜いた“赤土の帝王”は、原点回帰でかつての輝きを放っている。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer