「大嫌いやったよトルシエ。でもベトナム強くなったな」 天敵の久保竜彦も驚いた、優しくなった赤鬼の魔術
「ベトナム、決勝トーナメント上がるかもしれんよな」
昔のベトナムなんて全然弱かった。規律がないし、無茶苦茶で。隙間もあるし、2人うまいやつがおったらもう抜けるからね。ワンツーとかで。
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(トルシエのスタイルは)日本人にだけ通用するのかなと思った。練習で「帰れ!」って言われても誰も帰らんかったし、我慢するもんね。そういうのが通用するのは凄いよね。ベトナム人も言うこと聞くんかって思うけど。そういう(発展途上の)チームに合うのかな、たぶん。
今日のベトナム、強かったよ。あんなバラバラのチームやったのに。ちゃんとラインを上げ下げして、ちゃんとやってた。(後半40分に4点目を挙げた)上田のシュートの時は疲れて下がっとったけど、それまではライン高かったしね。トルシエはそれができる人なんやろな。強くなった。
日本はセットプレーから2失点したけど、ベトナムは瞬発系。やられるときはやられる。速いんよ。小さい頃、はだしで生活しとるからか、準備してても分からん、日本人もJリーグで体験したことない動きをする。ブラジルとか南米みたいな、ちょっと何をするか分からんところがある。
ベトナム、決勝トーナメント上がるかもしれんよな。
あとはイラクとインドネシアか。それなら上がるよね、きっと。ディフェンスライン良かったもん。トルシエは次、インドネシアあたりの監督になるやろ。ベトナムを強くしたら、きっとそういう(発展途上の)国で。でも、そうしたらアジアのレベルが上がるから楽しみよね。
で、日本について気になったことがある。やっぱ、余裕を持てるやつが何人おったかよね。俺が違いを感じたのは一人おったな。
(第2回へ続く)
■久保 竜彦 / Tatsuhiko Kubo
1976年6月18日生まれ。福岡・筑前町。筑陽学園高を経て、1995年に広島加入。森保監督(当時選手)とは7シーズンプレーした。2003年に横浜F・マリノスに移籍し、リーグ連覇に貢献。1998年に日本代表デビュー。ジーコジャパンとなった2003年以降は日本人離れした身体能力と強烈な左足でエースとして活躍したが、腰や膝など度重なる怪我により、2006年のW杯ドイツ大会は落選。以降、横浜FC、広島などを渡り歩き、2014年に引退。J1はリーグ戦通算276試合94得点。日本代表は国際Aマッチ通算32試合11得点。引退後は山口・光市に移り住み、コーヒー焙煎や塩作りなど、異色のセカンドキャリアを歩む。来月、初孫が誕生予定。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)