川口能活の目 難しかった3枚目の交代カード、垣間見た西野監督の勝負強さ
西野監督を悩ませた要因、終盤は“珍しい展開”に
前半を0-0で折り返したのはプラン通りだと思いますが、先制点を与えたのが誤算でした。失点場面の位置のFKは、ゴールから微妙な距離と角度で守る側としては対応が難しい。精度の高いボールだったとしても、ゴールを決めた選手が最終的にフリーになっているのは問題があるからです。ゾーンとマンツーマンにはそれぞれの良さがありますが、いずれにしてもシューターに自由を与えてはいけません。GKのプレーエリアを確保して対応させることも含めて、決勝トーナメントでは修正しなければいけない課題になります。
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その後は、負けている試合をそのまま終わらせるという、とても珍しい展開でした。一発勝負のトーナメント戦を除き、獲得している勝ち点を計算してゲームプランを立てるのは当然のこと。勝利を目指すのは大前提ですが、引き分けでOKの場合もありますし、ポーランド戦のように負けても目標を達成できるシチュエーションもあります。
後半開始早々に岡崎慎司選手がアクシデントで交代せざるをえなくなったのは想定外でした。さらに先制を許したことで2枚目は攻撃的なカードとして乾貴士選手をピッチに送り込みました。ですが3枚目の交代カードが難しかった。勝利や引き分けを目指すなら攻撃を加速させられるプレーヤーを投入すればいいのですが、ポーランド戦は違いました。負けてもOKという可能性が西野監督を悩ませ、しかし決断するための材料が乏しく、動くに動けなかったのだと推測します。
日本にとっての吉報であり、大きな判断材料にもなったのは、同時刻に行われていた別会場の試合でコロンビアがセネガルに先制したことでした。一報を聞いた西野監督は主将の長谷部誠選手を出場させ、ピッチ上の指揮官として意思統一させる役割を託しました。その結果、終盤は日本が主に最終ラインでボールキープするだけのやや退屈な時間になりましたが、決勝トーナメントに進むための最善策と判断したのでしょう。