なぜ山縣亮太はケンブリッジと桐生祥秀に勝てたのか 「+6センチ」の数字が示す強さ
自分の走りにフォーカスできる山縣の強さ、「安定感は上位3人の仲でも抜群」
「安定感は上位3人の中でも抜群です。それを支えているものは動きの正確性です。自分の一番スピードが出る方法を知っていて、それを体現する方法が分かっているのだと思います。特に、国際大会に行ってもブレません。過去にも五輪で10秒0台で走っていますし、開催される国、走るトラック、戦う相手が日本人でも外国人でもいつも通りの走りができる。自分の走りにフォーカスする力があると思います」
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
そうなると、期待が高まるのが、代表内定した8月のアジア大会だ。進化を遂げる中国勢と激突する可能性がある。19日に謝震業が9秒97、22日は蘇炳添がアジア記録タイの9秒91を叩き出した。
秋本氏は「中国選手も山縣選手、桐生選手と身体的なスペックはそこまで変わりません。ただ、最高速度の出現してからのスピードの低下率が低いと思われます。世界と戦う上では、日本人選手も回転数を高めるだけでなく、ストライドを伸ばすことも求められると思います」と力説し、伊藤氏は「現状は中国勢が強いですが、能力は遜色ないと思います。山縣選手も今回は追い風0.6メートルで10秒05でしたが、あと1メートル追い風なら単純計算すると0.1秒縮められることになりますし、今の日本短距離陣が切磋琢磨していけば風に頼らなくても9秒台、アジア記録を狙える可能性は十分あると思います」と期待した。
20年東京五輪まで、あと2年。5年ぶりに日本一に輝いた山縣を筆頭に、注目選手らがここからどんな成長曲線を描くのか。熱い戦いは続いていく。
【伊藤友広プロフィール】
高校時代に国体少年男子A400mにて優勝。アジアジュニア選手権の日本代表に選出され400m5位、4×400mリレーではアンカーを務め優勝。国体成年男子400mにて優勝。
アテネ五輪では4×400mに出場。第3走者として日本過去最高順位の4位入賞に貢献。
国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)を取得。
【秋本真吾プロフィール】
2012年まで400mハードルのプロ陸上選手として活躍。オリンピック強化指定選手にも選出。2013年からスプリントコーチとしてプロ野球球団、Jリーグクラブ所属選手、アメリカンフットボール、ラグビーなど多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。地元、福島県「大熊町」のために被災地支援団体「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、大熊町の子供たちへのスポーツ支援、キャリア支援を行う。2015年にNIKE RUNNING EXPERT / NIKE RUNNING COACHに就任。
(THE ANSWER編集部)