髪飾りを落としたら減点?バク宙もNG? フィギュアスケートの意外と知らない禁止事項
元フィギュアスケート日本代表で「THE ANSWERスペシャリスト」を務める中野友加里さんは、ビギナーファン向けに競技にまつわる素朴な「17のギモン」に答えるミニコラムを大会期間中、毎日掲載。10問目は「意外と知らない禁止事項」。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#62 中野友加里が答える「17のギモン」10問目
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
元フィギュアスケート日本代表で「THE ANSWERスペシャリスト」を務める中野友加里さんは、ビギナーファン向けに競技にまつわる素朴な「17のギモン」に答えるミニコラムを大会期間中、毎日掲載。10問目は「意外と知らない禁止事項」。
◇ ◇ ◇
フィギュアスケートにも競技特有のルールがある。ファンなら有名なものの一つが、衣装の一部が落下すると減点とされるというもの。審判員の資格を持つ中野さんが解説する。
「確かにその通りですが、実は衣装だけではありません。アクセサリーをはじめ髪飾りなど『身につけている物を落とすこと』で減点になります。フィギュアスケートで人気プログラムである『白鳥の湖』は白鳥をイメージした羽根がついた衣装を着る選手もいますが、その羽根も落としたらいけません。次に演技する選手への安全性への配慮からも必要なことです」
選手たちがこだわる衣装も規定がある。
「男子選手を見ていると、長袖長ズボンが当たり前であると気づかれるかもしれません。神聖なスポーツであるフィギュアスケートは清潔感が求められ、それは男性も同様。わき毛やすね毛を見せないようにすること。そのため、男子選手はノースリーブやハーフパンツで肌の露出が多い選手はいません。一方で、女子選手も裸を連想させるような衣装も禁止されています」
演技では「バク宙」は安全性から禁止されているものの代表例。
「審判員をしている立場からいうと、さらに細かい規則で、ステップ・シークエンスの中で規定数以上のジャンプやスピンを連想させる動作をしたら、1つの要素とみなされる可能性があります。また、転倒は体重の過半が身体のエッジ以外の部分が氷上に支えられた状態になったら減点です。SPは2分40秒、フリーは4分と規定(プラスマイナス10秒)されており、1秒でもオーバーしてしまっても減点です。
音楽の時間は決まっているのに『なぜ?』と思われるかもしれません。例えば、演技中に転倒してしまい、起き上がって再開すると遅れが生じ、高いレベルを獲得するため、規定された要素を何とか最後までやりきってレベルは獲れたものの結果的に音楽より長くなってしまう。スピンのレベルを落として時間を短縮するなど、多少の取りこぼしを覚悟で時間内に終わらせるかどうか、難しい判断になることがあります」