フィギュアスケート選手は目が回らない? 5分間、回り続けた「スピンの神様」が存在
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#7 中野友加里が答える「17のギモン」
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。
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元フィギュアスケート日本代表で「THE ANSWERスペシャリスト」を務める中野友加里さんは、ビギナーファン向けに競技にまつわる素朴な「17のギモン」に答えるミニコラムを大会期間中、毎日掲載。1問目は「フィギュアスケート選手は目が回らないの?」。
◇ ◇ ◇
フィギュア選手は目が回らないのか。高速でくるくると回転するスピンを見ると、思ってしまうギモン。
しかし、基本的に「目は回らないです」と中野さんはキッパリ。一般的には回転することで眼振(眼球が上下左右に小刻みに振動する状態)を起こし、耳の中にあり、平衡機能を備えた三半規管に混乱が生じ、頭がクラクラとする状態が起こる。選手は訓練によって、これを克服するといわれる。
ただし、最初から目が回らないわけではない。
「スケートを始めたばかりの子供は目が回ります。初心者は氷の上でバランスを取ることが第一歩。遠くをじっと見て、視線を一点に集中させることで体勢が安定しやすい。スピンも同じで、一点を見つめて回ること。はじめは視点が安定せず、目が回るのではないかと思います。一点を見つめることは訓練で鍛えられ、自然と目が回らなくなっていくと私は考えています」
トップ選手でも、例外はある。主に3つ。
「一つは姿勢の問題。今はスピンに柔軟性が問われる時代ですが、背中を反りすぎるなど極端な姿勢を取ると目が回ることがあります。もう一つは視界の問題。全日本選手権や世界選手権は会場内が青で覆われることが多く、360度が同じ色に。目が回らないまでも審判席がある前と観客席がある後ろを間違えてしまうことも……。まっくらな中で演技するアイスショーも同じことが起こります。
そして、ブランクの問題です。氷上の感覚は衰えるもので、今、実は私は目が回ります(笑)。現役を10年以上離れていますが、スピンをすると恥ずかしながら気持ち悪くなります。それは選手も同じ。スピンは毎日やるものなので、3日ぶりに体を反った姿勢を取るレイバックスピンをすると、目が回りやすい。あとは通常と逆回転でスピンをすると、目が回りやすいともいわれています」